福岡県中間市長選・市議選が8日に告示される。市長選には、現職と新人の計4人が立候補を表明。危機的だった市の財政状況が回復基調にある中、学校再編や廃止された公共施設の再整備、地域経済の浮揚、それらの財源確保策が課題になっている。一方、市議会では市長派と反市長派が同数で割れて対立が続き、市政運営にも余波が及ぶ。選挙を前にまちの現状を探った。
同市で今、市民の高い関心を集めるのが市立小中学校の再編計画だ。市側は、中学校全4校を2校へ、小学校全6校を3校へと統合する案を示している。市はこうした学校再編やその他の公共施設の維持に、今後10年で概算150億円超がかかると見込む。
市長選の各候補者からは今のところ、学校再編への目立った反対論は出ておらず、公約には「給食費無償化」など子育て施策の拡充策が並ぶが、具体的な財源は見えない。市教育委員会によると、仮に全児童生徒計2600人の給食費など教育関連費の保護者負担をゼロにした場合、年に計2億円近くの費用が必要になるという。
◆ ◆
現市政は逼迫(ひっぱく)していた財政の再建に取り組んできた。
実質的な累積赤字が約7億円に上っていた市立病院を20年度に廃院とし、更新期を迎えた中央公民館など公共施設の閉館を進めた。近年は大型店の出店で固定資産税が増えるなど市税収入は増加。自治体の「貯金」にあたる財政調整基金は底をつきかけた19年度末の1億3千万円から、25年度末に58億8600万円を見込むまでに回復した。
市民からはこうした取り組みを評価する声がある一方、「経費削減で貯金を増やすだけでなく、市民サービスにも使ってほしい」「市立病院跡を今後どうするのか、市の説明がない」と要望や不満も聞かれる。
財政危機は脱しつつあるが、同市の23年度決算の自主財源比率は32・8%で、政令2市を除く県内27市のうち21番目に低く、平均にも届かない。北九州市のベッドタウンとして発展した中間市について、ある市幹部は「総面積16平方キロと狭く、市内に大型工業団地もないため財政基盤は強くない」と話す。
明るい兆しはある。人口は毎年減少しているものの、外国人の増加を背景に、22年度からは転入者が転出者を数十人上回る「社会増」が続いている。市内の公示地価も昨年は商業地が29年ぶりに上昇に転じた。
財政健全化を進めながら、どのようなまちの将来像を描くのか。選挙戦では長期的な視点での論戦が期待される。
市議会の対立構図 変わるか市議会(定数16)は、市長派の議員と反市長派の議員がそれぞれ8人とみられ、真っ二つに分かれている。市執行部は不安定な市政運営を強いられてきた。
きっかけは2020年末、福田健次市長が市立病院廃止の方針を示してからだ。赤字体質の病院の整理を急ぐ市執行部と、当時のコロナ禍を背景に「慎重な検討」を求める一部議員との間に溝が生じた。
現市政の8年間で、市長提出議案のうち否決された条例案などは15件に上るほか、一般会計当初予算案などが議会で修正されたり継続審査となったりした。市長の辞職勧告は2回決議されている。
反市長派は「(執行部は)与党側にだけ情報を流す」、市長派は「政策論議でなく、個人的感情で動く議員がいる」と互いに批判を繰り広げる。ある市職員は「市民からさまざまな要望を聞いて対策に動きたくても、議会で火種にならないかと考えてちゅうちょしてしまう」と明かした。
市長選・市議選を経て、現在の対立構図がどう変わるのかも注目される。
(座親伸吾)