「石川祐希、高橋藍を超える選手に」シャイな21歳・甲斐優斗が明かした“驚異のメンタル”「いい意味でプライドがないというか…」

 Numberバレーボールナイト、2025年最初のゲストは、日本代表の甲斐優斗選手です。普段からシャイな甲斐選手が、福澤達哉さんを相手に、どれくらい笑顔を見せ、本音を語ってくれたのか。それはぜひ動画で確認していただくとして、ここでは、優勝したインカレ、パリ五輪について、また甲斐選手の代名詞であるサーブについてのトークをご覧ください。 「あっ、日本一になっちゃった」

福澤 まずは、昨年のことになりますが、専修大学の全日本インカレ初優勝、おめでとうございます。

甲斐 ありがとうございます(笑)。

福澤 今の心境はいかがですか。

甲斐 嬉しいけど、達成感はあまりなくて……「あっ、日本一になっちゃった」って思いです。

福澤 去年は、夏にパリ五輪があって、そのあと大学に戻って、秋リーグ、全日本インカレというスケジュールでしたが、秋リーグは何位だったんですか。

甲斐 7位で終わってしまい、納得いく結果ではありませんでした。

福澤 秋季リーグを7位で終えてから、たった1カ月ほどで全日本インカレ優勝までいったわけですね。モチベ―ションやアクションの変化などがあったんでしょうか。

甲斐 まず、春リーグの前、チームが始動したときに、キャプテンに「今年が一番、日本一になるチャンスがあるんじゃないか」と言われました。キャプテンは練習でもすごくやる気を出していて、自分もそこに乗っかった感じです。なかなか結果は出なかったんですけど。あとは、代表で得たものをチームに還元しながら全日本インカレまで準備しました。

福澤 パリ五輪まで話をさかのぼりたいんですが、日本代表においては、同じポジションに石川祐希選手、髙橋藍選手、大塚達宣選手がいますよね。そのライバルとメンバー争いをするわけですが、パリ五輪のメンバーに選ばれた瞬間はどういう気持ちでしたか。

甲斐 このオリンピックに懸けて、パリ・バレーへの挑戦もしましたし、いろんな準備をしていたので、まずはすごく嬉しかったです。

福澤 実際、パリ五輪の第2戦アルゼンチン戦で試合に出て、初得点をしました。そのときの印象はありますか。

甲斐 パスを乱されてやばいって思っていたんですけど、そのあと決めきれたのでよかったです。

五輪で感じた「1点へのこだわり」

福澤 五輪では、メダルに届きそうで届かなかった。メンバーとして、最後のイタリア戦後に感じたことはありますか。

甲斐 あと1点というところだったので、すごく悔しかったですし、自分が出ていたらどうなっていたかなと思いました。

福澤 1点に対するこだわりは、全日本インカレでも、場面場面で意識するようなことはありましたか。

甲斐 そうですね。決勝では24点目を取って最後の1点という場面で、まだ試合は終わっていないと思いましたし、コートにいるチームメイトにも「まだだ、まだだ」って声をかけました。それがあって、最後しっかり全日本インカレを締めくくれたかなと思います。

福澤 最後のサービスエースも狙いにいっていましたよね。

甲斐 はい。これは自分のために回ってきたんだと思って思いっきり打ちました。

福澤 見ていた皆さんは、これは本当に甲斐選手なの?と思っていたと思います。

甲斐 あはははは。

福澤 周りのメンバーに「まだだぞ」と言っている甲斐選手のリーダーシップを、私はまだ想像できません(笑)。

甲斐 ふふふ。

福澤 全日本インカレで結果を残したことで、甲斐選手が次のステージに上がったんだろうなと嬉しく思います。

サーブの秘密…準備やルーティンは?

福澤 さて、プレーの面でいうと、サーブですね。どんな秘密があるのか、気になる人も多いはずです。こだわりがあれば教えてください。

甲斐 こだわりというほどではありませんが、サーブが回ってきたら、サービスエースを取る、と思って常に打ち続けています。

福澤 日本代表では、リリーフサーバーという非常に難しい役回りを担っています。オリンピックでもそうでした。必ずといっていいほど、大事な場面でもいいサーブが入っている印象です。この若さで、よくあの場面であのサーブを打てるなとたびたび驚かされます。サーブに対する準備やルーティンはあるんですか。

甲斐 リリーフサーバーで出る、というのは分かっているので、1点目から試合の流れを見ながら、終盤に向けて体を温め準備していきます。コートに入った時はもう何も考えずに打つだけです。何も考えないために、事前に出来るだけの準備をしておきます。

福澤 なるほど。どこで切り替えるんですか。出てきた瞬間の映像はよく見ていますよ。すごく淡々と入ってきて当たり前のように打って、崩してもちょっとはにかむくらいですよね。どのタイミングで自分の思考をストップするんですか。

甲斐 ボールをもらったらもう何も考えない。その前までに決めていたコースに思いっきり打ち抜くだけ。だから、ボールをもらったタイミングですね。

「スイッチを入れるのは得意です」

福澤 メンタルの切り替えは得意なほうなんですか。

甲斐 そうですね。流すプレー、ここほしいっていうときにスイッチを入れるなどは得意です。それがいろんな場面で生きているんだと思います。

福澤 これまで、高校時代、専修大学でも「自分が打たなきゃ」というプレッシャーがかかるシーンがありましたよね。時には調子が悪い時もあると思いますが、プレッシャーの逃がし方のコツはあるんですか。

甲斐 直近だと、全日本インカレのことです。セッターと準決勝まで本当に合わなくて、自分の調子が上がっていないと気づいていました。その時は、オポジットの堀内選手に「あっちに上げろ、あっちに上げろ」って言って。自分はどうなってもいいんで、周りに頼りながらやるようにしています。それが一番手っ取り早いと思うんです。

福澤 自分が全部背負うのではなく、自分の状況をちゃんとセッターに伝えるということですね。

甲斐 そうですね。自分の中でとどめるのではなく、周りに「今こういうかんじだから頼む」って言うようにしています。

福澤 それは意外ですね。与えられた役割を全部一生懸命やります、というタイプだと思っていました。言うんですね。

甲斐 いい意味でプライドがないというか、頼るところは頼る。そこは自分の強みのひとつでもあります。

福澤 だからこそ自分のペースを淡々と保てるんでしょうね。これは皆さんにも共通して使えそうですね。頼れるところは周りに頼るというところ。

甲斐 そうですね。

石川祐希、高橋藍を超える選手に

福澤 ファンの方は、甲斐選手のどこにひかれるかというと、母性本能をくすぐるとことだと思いますが、チームメイトも同じなんでしょうね。「こいつは可愛いやつだな、助けてやろうかな」と思われているんじゃないですか。そういうのを引き出すのが上手なのかもしれないですね。

甲斐 あはははは。

福澤 これから、日本代表は新しくティリ監督のもとスタートしますが、甲斐選手としてはどんな選手になっていきたいですか。

甲斐 まずはコートでプレーできる選手になること、そのためには石川選手、高橋選手を超える選手になって、次のロス五輪ではチームの中心としてメダル獲得に貢献したいです。

文=藤森三奈(Number編集部)

photograph by Tadashi Hosoda

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