駐屯地の機能強化は相手国の攻撃対象となる危険性が増えることと表裏一体だ。一方的な配備に不安を持つ住民も多い。部隊の役割や住民生活への影響について丁寧な説明が求められる。
陸上自衛隊が宮古島駐屯地(宮古島市)に電子戦部隊を正式に配備した。
相浦駐屯地(長崎)と健軍駐屯地(熊本)の部隊の一部から合わせて約40人が移駐した。
防衛省は近年、中国などを念頭に「宇宙・サイバー・電磁波」という新領域への対応を重視。各地の駐屯地に電子戦部隊を次々と設置してきた。
中でも県内は重点的に配備されている。那覇駐屯地と知念分屯地に続き、昨年は与那国駐屯地にも新たに配備された。
宮古島配備はそれに続くもので、来年度は石垣島も予定されている。
平時は相手国の軍が使う電波情報の収集などを主な任務とする部隊。有事の際には自衛隊の通信を防護し、敵の通信機器やレーダーを妨害する役割を担う。
ミサイル誘導やドローン飛行など戦闘のネットワーク化が進む中、電子戦は敵の攻撃を効果的に阻止する手段として各国の軍隊が強化する分野の一つだ。
部隊には空間中の電磁波情報を収集したり、妨害電磁波を発射したりできるトラック型の「ネットワーク電子戦システム」が配備される。
宮古島駐屯地には車両15台が搬入された。
一方、今回の配備で、これらの車両が今後どのように運用されるのか、説明はない。
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宮古島駐屯地は2019年開設。当初は警備隊だったが、20年にミサイル部隊が新設された。
今回新たに電子戦部隊が配備されるなど、次第に増強されてきた経緯がある。なし崩し的な機能強化に住民の不安は根強い。
市では今月、嘉数登市長が市役所で会見を開き、市管理の平良港の「特定利用空港・港湾」指定の受け入れを表明した。
県内での指定は那覇空港、石垣港に次いで3施設目となる。
国は嘉数氏に「3月中旬」までをめどに同意するよう求めていた。
嘉数氏は同港の訓練利用について、国から「年に数回程度と説明を受けた」とし、民間の利用に影響がないよう事前に防衛省、海上保安庁と市が調整することを確認したという。
住民への十分な説明もなく同意を迫る国のやり方には疑問符が付く。
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電子戦部隊の新たな配備に加えて、特定利用港湾として港の整備が進めば軍事訓練が拡大する恐れもある。
米軍基地が集中する県内では、今後、日米の共同訓練の増加などに伴う軍事的な負担が増える可能性も否めない。
「標的になるのでは」との懸念も聞こえる。
嘉数氏は、市長として島の急速な軍事拠点化を不安視する住民の声に向き合うべきだ。