今日統一戦ゴング!WBC拳四朗の1万5000円超高級スイーツとWBAユーリの中華粥の“勝負飯対決”の判定は?

 プロボクシングの「U-NEXT BOXING.2」のトリプル世界戦の前日計量が12日、都内のホテルで行われ、出場全選手が一発でクリアした。注目はメインのWBC世界フライ級王者、寺地拳四朗(33、BMB)とWBA世界同級王者、ユーリ阿久井政悟(28、倉敷守安)の統一戦だ。計量後の“勝負飯”に拳四朗は1万5000円の超高級スイーツを用意。「冗談じゃないんですか?」と驚愕したユーリは中華粥。専門家の判定による、リカバリーの食事として正しいのはユーリの方だという。運命の統一戦の行方は?

 「ただでは終わらん。食ってやる!」

 距離をとってのフェイスオフ。JBCの関係者が終了を告げると互いに右手を差し出してニヤっと笑った。
「昨日よりも(頬が)こけていた。僕もそう。でも(思うところは)なんもない。誰を見てもなんとも思わない」
拳四朗がそう印象を語るとユーリもこう返した。
「あまり(相手を)見ていない。いい仕上がりじゃないですか。試合の感じは出ていますね」
日本人同士の統一戦は、井岡一翔×八重樫東、拳四朗×京口紘人に続く史上3度目。偶然にも、いずれもWBCとWBAだ。ユーリにとっては拳四朗の持つWBCには、特別の思いがある。自らがリングネームにつけた勇利アルバチャコフ(当時協栄)が持っていたのがWBC世界フライ級のベルトで、しかも、1992年にベルトを奪取した場所が両国国技館だった。
「意識はします。同じ国技館だしね」
ユーリは闘志を隠さなかった。
「勝つ気で来ている。ただでは終わらん。食ってやろうという思い。(気持ちは)作れた。やることはやった」
試合もイメージできている。
「どっちがペースを握るか。普通の回答になるが、そこに尽きる。スタミナ、パンチ力、カウンターに気をつけたい」
前日の公式会見で「まあ勝つのは僕ですけど」と自信の発言をした拳四朗は「圧倒する試合が一番。倒せたら一番だが、無理にいかない。勝ちに徹するのが一番」と自分に言い聞かせた。
計量後の囲み会見では拳四朗の明かした勝負飯が話題になった。
「ご飯を炊いて、おみそ汁を作って、唐揚げが食べたくてね。ザ定食みたいなのを作ろうかなと。もう鳥を漬けてきました」
自分で料理するのが定番。いつもはウナギだったが、今回は、500グラムもの国産の高級鳥肉を買い、しょうゆ、みりん、ニンニク、しょうがのタレに漬けこんで下準備をしてきたという。
「ニンニクが多め。濃い味が美味いやろうなと」
味噌汁もカニでダシをとるというこだわりよう。
さらに食後に用意したスイーツが凄かった。浅草のお濃茶スイーツ専門店「雷一茶」の「お濃茶タルトホールケーキ」をネットで注文した。値段はなんと1万5000円。同社の説明では 「良質な苦くない抹茶をクリームに練り込み、焼き工程から仕上がりまですべて手作り」とある。

 そのメニューを聞いて「冗談じゃないんですか?」と大笑いしたのがユーリだ。
こちらの勝負飯は中華粥。6月に第三子の男の子が誕生予定の身重の奥さんが、医師から止められて今回は岡山から上京できないため中華料理店で食事する予定だという。今回の試合に備えて母校の環太平洋大のサポートを受けて体幹を軸としたフィジカルトレーニングを取り入れ「想像以上に体が大きくなった」という効果を得た。その分、減量はきつくなったという。
両者の対照的な勝負飯を昨年JBCとJPBA合同の医事講習会で「減量と水抜き」について講演したスポーツトレーナーの桑原弘樹氏に判定してもらった。
「どっちが正しいか?と単純に聞かれれば間違いなくユーリ選手です」
そう明言した。
「前日のリカバリーではリスクのある食事を選択すべきではありません。まず減量で弱った胃には、油成分の多いものが避けた方がよく、唐揚げなんてマイナス要素です。鶏肉はタンパク質。このタイミングで必要な栄養素ではなく、もう減量は気にしなくていいのですから、鶏肉よりも、アミノ酸の多い牛肉、栄養素の高さで言えば豚肉です。またスイーツの抹茶クリームも油性分が多く、胃がびっくりして、消化活動が弱まり、胃もたれ感が残るとか、体調になんらかの影響を与えるリスクを含んでいます。もし拳四朗選手がまだ実績のないグリーンボーイであれば、“もう1日待て。細心の注意を払い、好きなものは試合が終わってから食べればいい”と指導したいですね。これまでは、ウナギを食べていたと聞きますが、そちらの方がベターです」
一方のユーリの中華粥はベストのリカバリー食に近いという。
「こちらは、弱った胃に優しく、消化、吸収を助け、しかも試合でエネルギーになる炭水化物。理想的でしょう。中華粥に他にどんな食材が入っているかわかりませんが、卵など栄養素の高い食材も加わっていそうです。お粥や雑炊は、細胞内から枯渇している水分補給にもなります」
「ただ」と桑原氏は言う。
「これはあくまでも計量後の食事の理想はどちらか?という答えにすぎません。2人のような世界レベルの選手になると計量後の食事には、そういう部分を超越した効果があります。好きなものを食べることで、気持ちを整え、メンタルの安定、満足感を得られる。あるいは、これを食べると勝てる、気合が入るといったジンクスのようなものが自信につながるなどのプラス効果もあります」

 桑原氏は、こう結論づけた。
「拳四朗選手には、自信と余裕、そしてユーリ選手には、最後の最後まで万全を尽くす、という2人の心理状態が透けて見えるようにも思えました。その心理がどう試合に影響するか。楽しみな頂上決戦ですね」
2人は過去に4度スパーリングで拳を交えており互いの力を把握している。その際、内容的には拳四朗が圧倒していたという。共に「スパーと実際の試合は別」と口を揃えるが、その経験が拳四朗の「余裕と自信」、ユーリの「最後まで万全」の対照的な姿勢につながっているのかもしれない。拳四朗が言葉通りに勝負に徹するのであれば絶対有利。ユーリのプレスもうまくさばきそうだ。
またセミファイナルではWBO王者アンソニー・オラスクアガ(帝拳/米国)に元2階級制覇王者の京口紘人(ワタナベ)が挑む。この2つの世界戦の勝者同士が3つのベルトをかけて戦う3団体統一戦へ期待が膨らむが、意外にも、拳四朗、ユーリともにそちらには目が向いていなかった。
「そこまでの興味はない。いまは(これ以上の統一戦への)執着はない。上の階級への気持ちが強いです」
拳四朗は、ライトフライ級時代にオラスクアガ、京口の両者に勝っていて、再戦にモチベーションを抱きにくいという背景もある。
ひとつ上のスーパーフライ級には、以前から対戦を熱望していたジェシー“バム”ロドリゲス(米国)がWBC王者として君臨。「井岡戦?いいっすね」とも口にしたことがあり、5月にWBA王者のフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)と再戦する元4階級制覇王者の井岡一翔(志成)も魅力的な対戦相手の一人として存在している。
またユーリも「思った以上に筋肉がついた。年も年。(ス―パフライ級へ)上げたいなという考えが出てきた」とスーパーフライ級への転級を示唆した。
そして「また当たるんか?」と、今回の結果次第では、スーパーフライ級での拳四朗との再戦の可能性が生まれる可能性さえ想定した。
「U-NEXT」で独占ライブ配信される運命の統一戦のゴングは、午後9時前後に予定されている。

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