フジもツツジも盛りを過ぎて、草木が日一日と緑を深めていく。自然の緑は染めものでは出せない色だと、染織家の志村ふくみさんは書いている。〈植物染料の中でたった一つ、神は大切なものを忘れたのであろうか〉と◆葉っぱからしぼった緑の液は、時間とともに灰色にあせる。それは、いきものが年を重ね老いゆく姿にも似ている。〈生命そのものを色であらわしたら、それが緑なのではないだろうか〉。母なる青い海も25億年前は緑色だったというから、志村さんの感懐に思わずはっとする◆地球温暖化で、ますます緑はかけがえのない存在である。原因となる二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの国内排出量はここ2年、過去最も減少したという。太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及が後押ししたとはいえ、身近な農林業の貢献も小さくない◆森林や田畑、牧草地の緑は温室効果ガスを吸収する。水田や畜産牛のげっぷから発生するメタンを抑える取り組みも進む。ただ、石油に頼っている農業機械や肥料生産、ビニールハウスの温度管理など克服すべき難題も多い◆こうした模索の一方、「掘って掘って掘りまくれ」と化石燃料で国力を誇示しようとする指導者もいる。同じ色でつながるいのちでありながら、ひとはまだ一つになれない。そんなことを思う「みどりの日」。(桑)
「みどりの日」に
Saga Shimbun 2025/05/04 05:15