地球温暖化などの影響で、春と秋が短くなる「二季化」による熱中症のリスクが懸念されている。夏本番を前に7日は全国的に気温が上がり、東京都内3地点を含む全国111地点で最高気温が30度を超える「真夏日」に。全国では今年、すでに熱中症で2千人以上が搬送されており、5月下旬には死者も出た。専門家は、急激な気温の上昇に備えて、早期に体を暑さに順応させるなどの対策を推奨している。
総務省消防庁によると今年5月以降、全国で熱中症により搬送された人は2662人(6月1日現在)。全国210地点で真夏日となった5月20日は342人が搬送され、愛知県で1人が亡くなった。翌21日も35度以上の「猛暑日」となる地点が出るなどし、この週だけで千人超が搬送された。6月に入り、さらなる搬送の増加が懸念されている。
30年で倍増試算、高齢化も一因に
年ごとの気象条件により増減はあるものの、熱中症の搬送は増加傾向が続く。昨年、熱中症で救急搬送された人は全国で9万7578人で、前年から6千人増の過去最多を記録。死者も120人に上った。
名古屋工業大などは昨年、地球温暖化で2040(令和22)年に世界の平均気温が産業革命前より2度上昇した場合、夏場の搬送者数は東京、愛知、大阪の3都府県で、2010年代と比べて倍増すると試算した。高齢化も搬送増の一因とされており、救急医療の逼迫(ひっぱく)が懸念されている。
異常気象に詳しい三重大大学院の立花義裕教授は「地球温暖化によって、気候の穏やかな春と秋が短くなり、季節が夏と冬に二極化する『二季化』が進んでいる」と指摘。熱中症搬送のピークは例年、梅雨明けで高温となる7月ごろだが、「二季化」で身体が暑さに慣れていない5〜6月に気温が上がると、汗をかけずに体温が上昇し、熱中症のリスクがさらに高まるという。
早い時期からの対策で順応を
熱中症対策としては、暑さに体を慣れさせる「暑熱順化」が知られるが、二季化熱中症を防ぐには、より早い時期からの対応が求められる。立花教授は、少し暑さを感じる環境下で、適度な運動を2週間程度継続することを推奨している。
今月施行された改正労働安全衛生規則では、企業の熱中症対策が義務化された。都はこれに先立ち、建設業などの企業の担当者を集めた勉強会を開催するなど、対策を後押しする。
環境省などは4月から、「熱中症警戒アラート」の今年の運用を始めた。処置の遅れが命の危険につながるため、呼びかけに応えられない場合は迷わず救急車を呼ぶなど、対応の周知を進めている。
東京消防庁も5月から対策を呼びかけている。特に高齢者はのどの渇きを感じづらく、重症化しやすいとして、屋外では直射日光を避け、屋内では冷房を入れ扇風機を併用することを勧めている。(堀川玲)