さあ、いよいよ今日28日からプロ野球のペナントレースがセ・パ同時に開幕する。球団創設90周年の節目のシーズンとなる阪神は、藤川球児新監督(44)が2年ぶりのリーグ優勝を目指す。充実した投手力を中心に2年前のVメンバーが円熟期を迎えている−と評されてV候補に挙げられているが、指導者経験のない新監督がどのようにチームを束ね、「勝ちにいく」という公約を果たせるのか、大いに注目だ。
吉田イズム継続を
勝てるのか、それとも…の大きな分岐点になりそうなポイントを前監督の岡田彰布オーナー付顧問(67)が弔辞の中で挙げた。阪神の名遊撃手、元監督で2月3日に91歳で亡くなった吉田義男氏のお別れの会が25日に大阪市内で開かれた。その場で弔辞を読んだ岡田顧問は「2023年に私が監督として日本一を成し遂げることができたのは『当たり前のことを当たり前にやる』という吉田イズムを学ばせていただいたおかげ」と話した。
吉田義男氏が監督として21年ぶりのリーグ優勝と球団史上初の日本一に輝いた1985年も、岡田顧問が18年ぶりのリーグ優勝と創設2度目の日本一に導いた2023年も、チームに徹底させた精神は「当たり前のことを当たり前にする」だ。同顧問は「タイガースが強いチームであり続けるためには、時代が変わっても吉田イズムを継続し続けなければならない」と念を押した。
詰めの甘さ散見
藤川監督は肝に銘じなければならない。オープン戦最後となったオリックス3連戦(京セラ)では「当たり前のこと」ができないシーンが続出した。22日の試合では、開幕2戦目の広島戦(マツダ)の先発に抜擢(ばってき)された富田が先発したが、5回7安打3失点。投球内容よりも悪目立ちしたのは二回の攻撃だ。1死一塁で打席に立つも、3球連続でバントを空振りして三振。試合の流れが変わり、直後の2イニングは連続で失点を喫した。
続く23日のオリックス戦(京セラ)でも、開幕3戦目の広島戦(マツダ)で先発する門別が六回途中まで投げて2失点だったが、二回2死一、二塁の場面で打席に立つもカウントを間違い、2ストライクでベンチに戻りかけて結果は三振。続く五回1死二塁でもバントを失敗し、「(腰が)引けてしまっていた」と反省した。
さらに2点ビハインドの七回無死二塁の攻撃では6番・前川が三飛に倒れ、走者を三塁に進塁させられなかった。阪神OBは「最低でも右方向に打球を転がして走者を進める打撃をしないとダメだ」と酷評した。阪神はオープン戦12試合を3勝5敗4分け。勝敗は関係ないが、詰めの甘さを感じさせるプレーが攻守ともに散見された。
紙一重の勝負
「当たり前のことを当たり前にやりなはれ。派手なプレーはいりまへんで。大事なのは基本に忠実なプレーですわ。チーム一丸になって挑戦する気持ちで戦えば、きっと結果は出まっせ」
吉田義男さんが監督時代に左手の人さし指を指しながら力説していた姿を思い起こす。岡田顧問が弔辞で振り返った吉田語録は藤川阪神の道しるべとなる。生前、吉田さんはこうも話していた。
「勝負は常に紙一重ですわ。紙一重。小さなことが勝負を決めるんです。小さなことを大事にせなあきまへんで」
紙一重の勝負に藤川新監督は勝てるだろうか。
◇
【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。