重力が小さく大気がない…減速が難しい月面着陸 アイスペースは失敗を財産に前進を

日本の宇宙ベンチャー「アイスペース」(東京都中央区)が自社開発した2機目の月着陸船は、6日早朝、月面着陸に挑戦したが失敗した。着陸直前に地球との通信が途絶したことから、同社は墜落して破損し正常な機能が失われたとみている。残念な結果となったが、科学技術は失敗を通して貴重な知見を獲得し新段階へ進むものだ。同社は再挑戦に当たり「日本を失敗できない国にしない」との標語を掲げたが、その言葉通り、ぜひ前進につなげてほしい。

月は地球から最も近い身近な天体だが、着陸は難しい。重力が地球の6分の1と比較的大きく、大気もないため降下の際の減速が困難で、海外の宇宙船も着陸時に姿勢を崩すことが多かった。

それでも近年、世界の企業や研究機関による月探査構想が活発なのは、多様な資源が存在するためだ。飲料水やロケット燃料を作れる氷のほか、チタンや鉄を含むイルメナイト鉱石、アルミニウムやケイ素が豊富な「月の砂(レゴリス)」が大量にあるとされている。

日本勢も活発で、宇宙ベンチャーのダイモンは将来、無人の小型探査車「ヤオキ」を100台連携し、資源探査を行う計画だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車も、人が居住し移動しながら長期の資源探査を行う「有人与圧ローバー」を開発中。京都大と鹿島建設は、シャンパングラス状の居住施設を回転させて重力を作る「ルナグラスNEO」の研究を進めている。

今回のアイスペースの再挑戦は、結果だけ見れば失敗だ。だが、きちんと原因を究明し次の成功につなげれば、その知見は必ず、将来的な月資源利用を含めた日本の宇宙開発の大きな財産となるはずだ。(伊藤壽一郎)

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