1960年の開館から昭和を彩る映画を上映してきた東京・丸の内TOEIは7日で閉館まで50日となる。数々の作品で舞台あいさつに立ち、ファンと触れ合ってきた俳優、北大路欣也(82)が思い出の地に〝潜入〟した。(ペン・栗原智恵子)
★東映稲荷神社
地下3階地上8階塔屋3階の東映会館の屋上には、京都伏見稲荷から奉持した御神体を祀る東映稲荷がある。社員、スタッフ、数々の名優らが映画のヒットを願ってきた場で手を合わせた北大路は、開館当時を振り返り「一番高かったわけではないけど、こんなに見上げるビルはなかった。時代の流れで、どんどん古いものが新しいものに変わっていくわけだから、ここを守りたいと思うけれど、そうはいかないんだろう」としみじみ。鳥居に書かれた東映歴代社長の名前を見つけ、感慨深そうに読み上げた。
★第1試写室
6階には座席数21の第2試写室がある。取材は47席ある第1試写室を使用。「試写室ではその会社の社長様をはじめ、各ポジションのスタッフの方々も一緒に見るわけですよ。その方々の反応が一番、心配ですよね。もうドキドキしながら、センターに座っていられないんで(笑)後ろの方に座って試写を見たって経験が多いですね。そのときに『あそこはこうした方がいいな』とか、『今度はここが良くなったな』っていう意見を聞くことができる。それをいただいて次の作品に向かっていくんです」
★映写室
映画館の心臓部ともいえる場所。同館は2010年から35ミリ(フィルム)と並行してデジタルシネマパッケージ(DCP)の上映をスタート。11年公開「聯合艦隊司令長官 山本五十六」が最後のフィルム上映。「ここがなければ映画は映らないわけだから。昔は見ていたときにフィルムが切れるときもありました。何回もね。(アナウンスで)『ちょっとお待ちください』って言われて待っている、フィルムをつないでいるのをね。誰も、なんだって言わない。切れたのか、いいよって。(館内の雰囲気が)すごくいい感じでした」
★2階席
丸の内TOEI①の席数は1階359(車椅子スペース2)、2階150で計509席、同②は350席。「一番いい席は2階席のセンターだね」と場内をグルリ。客席を背景に自撮り風ショットでは手すりに座り、記者やカメラマン、スタッフを狼狽させるも、自身はこの笑顔。
★舞台袖
1階踊り場から階段を上るとステージ脇に。公開初日のたびに観客の熱気を感じながら、暗闇から明るいステージへ上ってきた。袖で考えていたことは「素直にきょう舞台あいさつができることがうれしいという気持ち」