新指揮官を迎えて挑む2025年シーズン。藤川阪神の開幕ローテに背番号16の姿はない−。西勇輝投手(34)は高卒3年目の11年から14年間守り続けてきた座を、台頭してきた期待の若手たちに譲る形となった。それでもチーム最年長右腕は、同じ枠を争うライバルにも助言を惜しむことはない。
「隠しても意味がない。若い子にいいことをつないでいくことが、年上の役目だと思う。隠すこともできるけど、それをするとチームが強くならないから」
18年オフにオリックスからFA移籍し、縦じまのユニホームを身にまとって6年間で50勝43敗。計845イニングを投げ、防御率2・80と、12球団唯一の令和全年Aクラス入りに大きく貢献してきた。実績を誇るプロ17年目の右腕のもとには、助言を求めて若手投手が列を成す。飛躍を志すホープの成長を促し、西勇は「後輩が上手くなったら燃えるやん。ライバルはいたほうがいい」と、より高いレベルでの競争を求めた。
積み重ねてきた記録がある。14年連続100イニング投球。今季もこの数字を達成できれば、1995―2009年に継続した三浦大輔(現・DeNA監督)以来、16年ぶりの偉業達成となる。それでも「狙って15年やってきた訳じゃない」と意に介さない。しかし、その歩みを支えてきたものは何か−。右腕は要因として、継続を挙げた。
「きょうは眠たいから起きないとかはない。何事も決めたことはずっと続ける。どれだけ周りからたたかれようが、何を言われようが、それは変わらなかった」
ぶれない精神に忍耐力。プロで積み上げた経験があるからこそ、自信を持って物事に取り組める。その姿勢を見て、若手も安心して背中を追うことができている。
「1000奪三振とか、1500イニングとかも過程であって、自分の最終的な目標に向けてやっているだけ。野球が好きだからうまくなる、そんな感覚かな」
今も変わらぬ野球への情熱を胸に、西勇は歩みを止めない。虎の強力投手陣の中で切磋琢磨(せっさたくま)しながら、自らの道を突き進む。(萩原翔)