今年の夏、パリでの熱戦。卓球史上初・兄妹でのオリンピック出場を成し遂げた2人。小学生まで過ごした仙台。幼い頃から数々の偉業を成し遂げた兄・張本智和選手(21)と兄の背中を追いかけ、中学生の時その世代の頂点に立った妹・張本美和選手(16)。
TBC今や日本卓球界を代表するまでに成長した兄妹の、お互いへの思いやメンタル術とは?
美和選手が大きくなった?ディレクター:
(妹の美和選手が)大きくなったなという感覚はありますか?僕らもびっくりしているんですけど、昔取材したときに比べて…。
張本智和選手:
(笑)そうですね、昔の映像とか写真見ると確かに大きくなったなと思うんですけど、こうやって定期的に会っているので…。
張本美和選手:
定期的に?(笑)
張本智和選手:
大会とか…なので、確かに気づかないうちに大きくなったかなっていうのは傍で見てて一番思います。
張本美和選手:
小学校2年生ぐらいから(兄と)離れている分、本当に卓球をプレーしているところだけでしか存在を感じることができなかったので、そこで学ばせてもらった部分というのは本当にたくさんありました。
パリオリンピック™という、今回初めて夢の舞台に立った美和選手。
今大会卓球代表として最年少の16歳は、緊張を感じさせない圧巻のプレー。絶対女王・中国には及ばなかったものの、女子団体銀メダル獲得に大きく貢献しました。
張本美和選手:
もちろんありました、プレッシャーだったりとか。自分自身すごく緊張だったり不安が大きかったので、試合が始まる前までは本当に緊張していたんですけど、試合が始まってからは、本当に割といつも通り普段の試合と変わらずプレーすることができて。そして「金メダル」?銀メダルを獲得できて。今「金」って言った?(笑)
張本智和選手:
うん。
張本美和選手:
すみません!(笑)「銀メダル」を獲得することができたので、すごく思い出になりました。やっぱり私は初めてのオリンピックという舞台だったので、本当に何もかも初めて初めてっていう感じだったので。お兄ちゃんを見るだけで、会えるだけですごく安心感があったりとか、なぜかいつも通りに戻ってきたなっていう感じもあって。
私が「緊張する」というのを(兄に)相談したとき、「本当にいつも通りやれば大丈夫」と言ってくれたおかげで、オリンピックという舞台を緊張や不安から解放されてすごく楽しむことができました。
張本智和のパリ五輪メダル獲得を大きく期待され、3種目に出場した兄の智和選手でしたが、混合ダブルスは、難敵・北朝鮮を前にまさかの初戦敗退。シングルスも準々決勝で敗退と苦しい戦いが続きます。
そして、迎えた団体準決勝のスウェーデン戦。2勝2敗でで迎えた第5試合は、智和選手に託されました。しかし、激闘の末、あと一歩及ばず。試合終了後智和選手は床に崩れ落ちました。
張本智和選手:
悔しいとはまた別の感覚でしたね。シンプルに負けて悔しいとか、泣くようなそういう場面ではなくて。本当にもう放心状態というか。混合ダブルスも負けて、シングルスを負けて、それでもなんとか繋いできた糸があそこでプチンと切れたような。もう頭が真っ白になったような感じだったので、涙は全く出なかったですし、何も考えることはなかったですね。
もう「終わったな」っていう、ただそれだけでした。
この試合の後、3位決定戦に向けては温かい励ましの連絡がいくつも届いたそうです。
張本智和選手:
「コートに立つだけでも偉い」といろんな方に言われましたし、一番印象に残ったのは、8年間ぐらい僕を追ってくれた記者の方にLINEで、「明後日会えるだけでも嬉しいです」と言われたのが、僕はすごく感動しましたね。今まで頑張っても結果が出なければ意味がないと思ってきた人間なので、今回初めて「頑張っただけで偉い」と初めて思えたので、そこはその言葉に救われたというか。
その言葉のおかげで3位決定戦負けても、胸を張って日本に帰ることができたのかなとは思います。
これまでにも数々の大舞台を踏んできた2人。対戦相手との距離が近い卓球は、技術以上に求められるのが「メンタル」だと智和選手は語ります。
ディレクター:
智和選手の中でメンタルのいい状態というのはどういう状態のことなんですか?
張本智和選手:
調子がよければメンタルがいいわけではなく、本当に良くも悪くもないときが僕は一番好きで。良すぎても僕は嫌なタイプなので、ちょっといいかちょっと悪いかぐらいの誤差の範囲だったら、僕はメンタルがいいんじゃないかなと思います。
ディレクター:
メンタルがすごくいい時が一番いいわけではないんですね。
張本智和選手:
それが逆に自分を狂わせてしまう時もあるので。よかったと思ったら終盤に失速して負けてしまうこともあるので。やっぱり浮き沈みが少ない方が、安定した自分のプレーができるかなと思います。
ディレクター:
智和選手から見て、「美和選手はメンタルが強い」とお話されてたのを聞いたのですが…。
張本智和選手:
オリンピックも初めてでしたし、その前の世界卓球だったり、アジア大会とか、いろんな大会に初出場のはずなのに、いつもの大会と同じような顔つきで、プレーの内容も同じなので。若い時って、勢いがあるときと勢いがなくなってしまうときがあるんですけど、妹は僕がさっき言ったように、浮き沈みが少ない。すごくいいプレーをしたとしても、それは調子がいいからできているわけではなくて、いつも通りすごいプレーができているな。今日だけとかこの時期だけというわけではなく、明日やってもそういうプレーができそうだなというプレーがメンタルの強さにも見えるのかなとは思います。
張本美和選手:ありがとうございます。
ディレクター:
…というお話ですけれども。
張本美和選手:
緊張、すごくしているんですけどね。本当に緊張しない試合は一度もなくて。(そう見えるのは)なんなんですかね?でもやっぱり試合前に緊張してるというのはもう全部言っちゃうタイプなので。逆にそれで吹っ切れてる部分もあるのかなとは、最近はそう思うんですけど。
小学生の頃は逆にメンタルが弱かったというか、本当にお兄ちゃんのメンタルを目指してきたので。
負けん気があって、「絶対に負けない、絶対勝ってやる」っていう気持ちがプレーにも表れているところは、自分は小学生から見ていて。
TBCそれが一番、技術も強い部分っていうのはあるんですけど、そこが一番自分に足りなかったものだったので。お兄ちゃんを見てたぶん、どんどん良くなって、いい方向になっているのかなとは思います。
次世代の子供たちに大事にしてほしいこと9月、オリンピックの後、初めて兄妹揃って宮城に帰ってきました。
地元でヒーローとなった2人が、夢を目指す次世代の子供たちに大事にしてほしいことは。
張本美和選手:
やっぱり好きなことをやってほしいという気持ちはすごくあります。自分も子供のころ卓球がすごく好きでやっていたわけじゃないですけど、それが好きに変わって今も続けられている部分もある。やっぱり好きじゃないと続けられなかったりとか、諦めてしまうこともあると思うので。そこは本当に自分のやりたいことだったり、好きなことを没頭してやれたらすごくいいんじゃないかなと思います。
張本智和選手:
卓球に限らずスポーツも、勉強もそうですけど、やっぱり勝つとか負けるとか、受験では受かるか受からないかとか、正直ある程度は努力できても結果は自分で決められるところじゃないので。でも全力でやって、その結果嬉しいとか悔しいとか、そう思えるかどうかは全力でやったかどうかだけだと思うので。言いたいこととしては、全力で取り組んで欲しいかなと。全力でやれば、たぶん自分に返ってくる気持ち・経験があるので、その経験を糧にまた頑張れば、きっといい人生になるのかなと思います。
【tbcテレビ ヒーローインタビューより】