去年4月、宮城県柴田町で男性を殺害した罪などに問われている男性の長男の妻と男性の次男の裁判員裁判で、仙台地方裁判所は25日、長男の妻に懲役28年、次男に懲役20年を言い渡しました。また、仙台地裁は2人の間で共謀が成立し長男の妻が「殺人の首謀者だった」として殺人への関与を認めました。
この事件では裁判で常識では考えられないようなことが次々と明らかになりました。去年4月の事件発生からこれまでの経緯を振り返ります。
事件後、すぐに浮かんだ名前記者:
「現場にはブルーシートが張られ、捜査員が出入りしています。中で話し合っている様子も見え、捜査が行われています」
去年4月17日。柴田町の住宅で会社員の村上隆一さん(当時54歳)が腹のあたりから血を流して死んでいるのが見つかりました。県警は殺人事件と断定。捜査本部を設置し、犯人の行方を追います。
tbcが取材を開始すると、ある人物の名前が浮上しました。隆一さんは殺害される2か月前に火災で家を全焼していて、次男・直哉被告がこれに関わったのではないかと話す人が複数人いたのです。
TBC消防団員:
「自宅で灯油をこぼして線香が引火したと聞いた。そのときは弟(次男・直哉被告)がこぼしたと言っていた」
火災後の消防の調べでは、こぼれたのは灯油ではなくガソリンだったことが分かっています。
何食わぬ顔で葬儀に参列記者:
「タバコを吸っています。髪を気にしています」
隆一さんの葬儀。この4日前に隆一さんを殺害した直哉被告と敦子被告は、平然とした様子で葬儀に参列していました。
TBC殺人容疑などで逮捕2人が逮捕されたのは、それからおよそ4か月後のことでした。2人は殺人のほかに美人局を行った詐欺と詐欺未遂などの疑いでも逮捕されました。
TBC隆一さんの長男である敦子被告の夫、敦子被告の実姉、元夫とその妻も逮捕・起訴され、その後有罪判決を受けています。
TBC11月5日、裁判の初公判で2人はこのように話しました。
村上直哉被告:
「殺人は認めるが、敦子被告との共謀は否定する」
村上敦子被告:
「殺人を共謀していないし、殺してもいない」
裁判の争点は「2人の共謀の有無」。ここで、直哉被告がLINEやり取りを行っていたという「ある人物」の名前が登場します。それは「霊媒師JUN」です。
「霊媒師JUN」は誰?検察は敦子被告が「霊媒師JUN」になりすまし、直哉被告に殺人を指示したと指摘。一方、弁護側は敦子被告と「霊媒師JUN」は別人だと主張し、意見は真っ向から対立していました。
TBC裁判では、直哉被告が敦子被告に好意を持ち、2人が不倫関係にあったことが明らかになりました。「自分には霊感がある」と話す直哉被告は、隆一さん殺害の動機についてこう証言しました。
村上直哉被告:
「敦子被告には『呪い』がかけられていて、『呪い』をかけた張本人の父親を殺害した」
なお、直哉被告の精神鑑定を行った精神科医は、直哉被告の刑事責任能力には問題がないと認めています。常軌を逸した事実が次々発覚したこの事件。地裁の判断が注目されていました。
なぜ裁判所は「敦子被告が霊媒師JUN」と判断したのか仙台地裁の判決理由を詳しく見ていきます。争点は「敦子被告と直哉被告が共謀したかどうか」、つまり「敦子被告が『霊媒師JUN』になりすまし直哉被告に殺人をさせたかどうか」でした。
TBC仙台地裁は25日の判決で、「霊媒師JUN」のLINEアカウントの登録に敦子被告の祖母の自宅の電話番号が使われていたこと、「霊媒師JUN」のLINEメッセージが敦子被告のスマホのテザリング機能を使って送信されていたことなどから、敦子被告が「霊媒師JUN」に成りすましていたと認定。そのうえで直哉被告に対し隆一さん殺害に誘導するようなメッセージを送っていたとして、2人の共謀を認めました。
TBC敦子被告と直哉被告の弁護人は「控訴は本人と相談してから決める」としています。