現地1月23日(日本時間24日、日付は以下同)に行なわれたNBAパリゲームズのサンアントニオ・スパーズ対インディアナ・ペイサーズ戦は、140-110でスパーズが勝利。彼らにとっては、今季2度目のビッグマージンでの快勝となった。
ヴィクター・ウェンバンヤマは第1クォーターの序盤、ジャンプショットに続きトップ・オブ・ザ・キーからの3ポイント、さらにダンクと8連続得点をマーク。スパーズのペースをセッティングすると同時に、会場の注目を一気に引き寄せた。
その後もシュートフェイクからクリス・ポールの3ポイントを引き出す巧みなアシストや、ボードを使っての1人アリウープなど、まさに“ウェンビー・ショー”。会場には、ヨーロッパのアリーナではお馴染みのMVPコールが巻き起こり、その期待を裏切らないゲームハイの30得点、11リバウンド、6アシスト、5ブロックという圧巻の活躍で、スパーズの第2のホームになったとも言えるパリの地で勝利をもぎ取ったのだった。
試合後、敵将のリック・カーライルHC(ヘッドコーチ)は「彼が試合前のスピーチで何を話したかはわからないが、効き目があったことは間違いないね」とコメントして会見場の笑いをとったが、あながちジョークではなかったかもしれない。
ティップオフに先駆け、スパーズからはウェンバンヤマ、そしてペイサーズからは、カナダのフランス語圏モントリオール出身のベネディクト・マサリンがスピーチしたのだが、ウェンバンヤマはそこで堂々とハイパフォーマンスを確約していた。
「パリでプレーできることは、この上ない喜びだ。だからこれが最後になってほしくない。これからもまたここでプレーしたい。だからもしみんなも、この先もスパーズを観たいと思ってくれるのであれば、最大限に声を出して盛り上げてほしい。そのお返しとして、僕はみんなが最高に楽しめるスペクタクルな試合をお見せすることを約束するよ」
そしてその期待を裏切らない、最高にスペクタクルな試合をやってのけたのだった。
スパーズの暫定HCミッチ・ジョンソンは試合後、いかにチームがウェンバンヤマへの喝采と会場の雰囲気を味方につけて戦ったかを言葉で示した。
「観客から彼(ウェンバンヤマ)に贈られた拍手喝采は、この街と国、そして人々が彼に対して抱いている想い、そしてウェンバンヤマが彼らに対して抱いている想いを象徴するもので、非常に感動的だった。選手たちを奮い立たせる必要のないゲームというのがあるが、今日はまさにそうした試合だった」
同時に指揮官は、ベンチメンバーのトレ・ジョーンズの8アシストを筆頭に、チームで43アシストを記録した試合内容についても「ボールを動かすプレースタイルは、我々のアイデンティティの重要な要素」だと評価。
「我々は毎晩、3人の選手で90点を稼ぐようなチームではない。自分たちのアイデンティティはオフェンスの多様性にある。試合ごとに異なる選手が様々なプレーをしてお互いを助け合う。そうやって自分たちから最大限の力を引き出すんだ。
パスや得点だけでなく、スクリーン、スペーシング、ロール、スクリーン後の動きといったものだ。我々はそうしたプレーを最も重要視している」。
試合会場には、球団OBのトニー・パーカーやマヌ・ジノビリ、デイビッド・ロビンソンをはじめ、パウ・ガソル、1960〜70年代にかけてミルウォーキー・バックスなどで活躍した元MVPのオスカー・ロバートソンら、往年の名選手が集合。
サッカークラブ、パリ・サンジェルマンの選手たちやパリ五輪のメダリスト、さらにはフランスのセレブリティーらがコートサイドを埋め尽くした会場の雰囲気について、20年のキャリアで様々な大舞台を経験してきたクリス・ポールは、この試合の特別感をこう描写した。
「コートサイドにいろいろな人が集まっていて、試合が始まる前はまるでオールスターゲームみたいな感じがした」
さらに、こうしたビッグゲーム、とりわけ同じ相手と1日置いての連戦は、現在のスパーズのような若いチームにとってはプレーオフの感触を身につける上でも効果的だと、ベテランならではの発言をしている。
「僕らはこれまで、こういったビッグゲームでプレーする機会がほとんどなかった。今季で最もビッグゲームだった試合のひとつが、NBAカップ出場権をかけたフェニックス(サンズ)戦だ(12月3日)。こうした試合を多くこなしてプレーオフの雰囲気を味わうことができれば、チーム向上に役立つ」
そしてこの日の主役ウェンバンヤマは「今日の試合では、観客のみんながいつもとは違うものをもたらしてくれたから、そうした環境を力に変えて僕たちは戦うことができた。みんなのエネルギーのおかげで、イージーな夜(試合)になったよ」と、熱狂に満ちた一戦を振り返った。
ペイサーズとスパーズは、2日後の25日にふたたびパリで対戦する。
ポールは「今度が4度目の連戦だが、まだ一度も両方とも勝ったことはない。デンバー(ナゲッツ)、ヒューストン(ロケッツ)とは分け合い、メンフィス(グリズリーズ)には2試合とも負けた。相手は修正をしてくるだろうから、こうした状況にどう対応するか、僕たちにとっては学びとなる経験だ」と熟練らしいコメントを残している。
ジョンソン暫定HCも「これはビジネストリップだ。我々は仕事をしにきている」と試合前に念を押していた。
ポールの言葉通り、ここでの連勝は自信につながる。“ウェンビー応援団”の力を武器に、第2戦も快勝を飾りたいところだったが、逆に98−136と逆にブローアウトでやり返されてしまった。
とはいえ、プレーオフのような雰囲気のなかで同じ相手との2連戦をやり合えたことは、若いスパーズにとって大きな経験となったに違いない。
文●小川由紀子
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THE DIGEST 2025/01/26 12:51