プロ野球は28日に開幕し、ソフトバンクはパ・リーグ連覇と5年ぶりの日本一奪回に向けた長い戦いが始まる。今季も打線の中軸を担うのは不動の4番打者・山川穂高内野手(33)だ。一方、来年3月には日本代表の連覇がかかる「WBC」も開催されるが、前回大会の優勝メンバーでもある山川はどう臨もうとしているのか。恩師で本紙専属評論家・伊原春樹氏の直撃に胸中を明かしたまさかの思いとは――。
オープン戦全日程を終えたチームは9勝6敗3分けで4位。順位がそのままシーズンの結果に直結するわけではないが、攻撃面の核となる山川には21日の広島戦(ペイペイ)で待望の“今季1号”も飛び出し、開幕に向けてしっかりと仕上げてきた。
西武から加入した1年目の昨季は常に厳しい視線にさらされた。自身の女性スキャンダルを経てのFA移籍で例年以上に結果を求められた。そんな中でも34本塁打、99打点で2冠王。古巣のベルーナドームでは4月に2打席連続の満塁本塁打、8月には1試合3発の離れ業をやってのけた。
まずはチームの連覇とDeNAにさらわれた日本一に導くことが最優先となるが、今年の特徴の一つが来春に世界大会「WBC」が控えていることだ。
2023年の前回大会では最後はドジャース・大谷翔平投手(30=当時エンゼルス)が胴上げ投手となり、さまざまなドラマと感動を日本中に届けた。
山川もVに貢献した一人。準決勝のメキシコ戦の8回に1点差に追い上げる犠飛を放ち、侍ジャパンの逆転勝利を“お膳立て”した。あくまでも代表のメンバー選考の決定権は井端監督にあるものの、希代のスラッガーが今季も好結果を残せばWBC連覇に欠かせないピースとなることは間違いない。
山川がドラフト2位で西武に入団した際に監督だった伊原氏が「再びWBCの舞台に立つ気持ちはあるのか?」と本人に投げかけると…。
「出たいか出たくないかで言えば出たくないです。あまりにも大会の規模が大きすぎます。シーズン前にあの規模で戦うのは今の自分にはキツすぎます。大会に入ったら調整ができなくなり、試合前のバッティング練習では10球しか打てない。それで試合では最大限の出力が必要になります」
慎重に言葉を選びながらも、答えはまさかの「NO」だった。もちろん、日本代表への情熱が衰えたわけではない。山川は「大谷選手とか、あのレベルの選手が出てくれるとチームが締まります。24年の『プレミア12』は選手層が若すぎてうまくいかなかった」と侍ジャパンの勝利を願ってやまない。
ただ、シーズン開幕直前に日の丸と世界一への計り知れない重圧を抱え、そのままペナントレースに入る肉体的、精神的負担は想像を絶するものがある。だからこそ山川は早々に“辞退”を口にしたようだ。
「名誉だけを求めるなら野球選手としては出たい気持ちはあります。でもケガをしてシーズンに影響してしまったら…。自分としては体力的に無理があります」
すべてはチームに対する責任感。世界最高峰の夢舞台への憧れにはフタをし、鷹の常勝軍団復活に全力を傾ける。