八戸市立市民病院を拠点に運行している移動型緊急手術室の機能を搭載した「ドクターカーV3」について、八戸工業大学が同病院などと共同で、本年度中の着手を目標に、後継となる新型車両の開発準備を進めている。従来型はV3から車外に張り出したテントの中で手術を行っているが、新型ではテントを張らずに車内で手術をするスペースの確保が可能かどうかを検討する方針。
開発には県内外の複数の企業が協力の意向を示しており、工業大学と医療機関、地元企業との「八戸版医工連携」の新たな取り組みとして注目される。
V3は同病院から離れたへき地での救命率と社会復帰率の向上を目指し、2012年度から同大工学部の浅川拓克教授と同病院の今明秀事業管理者を中心に開発。16年7月、同病院3台目のドクターカーとして運行を開始した。
消防からの出動要請を受け、医師と臨床工学技士らを乗せて同病院を出発し、患者を乗せた救急車と合流。手術の際は車の屋根に搭載した箱からテントを張り出してスペースを確保し、心肺停止状態の患者を蘇生させるための人工心肺装置ECMO(エクモ)の装着手術などを行う。
同病院によると、運行開始から今年5月末時点での出動件数は37件。うち14件で手術を実施し、社会復帰を果たした患者もいる。一方で運行開始から間もなく9年が経過し、近年はバッテリーが上がるといった不具合が見られるなど車両の老朽化が進んでいることから、V3の更新が課題となっていた。
浅川教授は、V3の運転などに携わる同病院の救急救命士から「テントの引き出し作業が煩雑」との声を聞き、新型車両で改良を試みるという。「広い手術スペースが必要な時は従来通りテントを利用するが、テントを使わずバックドアを閉めた車内で手術を行うにはどれくらいのスペースが必要かなど、研究を進めたい」と話している。