【松浪大樹&山河浩 私たちはこう見た】
山河 まずは中山記念からいきましょう。1着馬には2017年からGⅠに昇格した大阪杯の優先出走権が与えられるようになりました。かといって選択肢は大阪杯だけではない点が、かえってレースのレベルを上げています。
松浪 ドバイならば距離が同じ1800メートルのドバイターフ、距離は1ハロン違うけど香港のチャンピオンズマイルかクイーンエリザベス2世Cってのもアリだからな。
山河 ソウルラッシュはそのドバイターフの招待を受諾済み。千八の予行演習の性格が強かったですが、3着止まりの結果をどう見ます?
松浪 テンに出していっても向正面で置かれ気味になったレース内容も、直線の進路取りでロスが生じたのも、個人的には想定通り。距離は持つしワンターンの方がいいタイプ。叩き良化タイプでもあるし、ドバイターフの方がパフォーマンスは上がるだろう。ただ、ロマンチックウォリアーに勝てるかどうかは別問題だ。
山河 土曜のオーシャンSもレースレコードタイの1分07秒1という決着。開幕週の高速馬場でコースレコード1分44秒8の決着となると、やはり内枠が有利ですし、8番枠を考慮すれば及第点は与えていいでしょう。
松浪 栗東で調教を見ていて勝負になると踏んだのはソウルラッシュとエコロヴァルツだけ。エコロを上位に取った理由のひとつが好枠4番を引けたこと。何よりディセンバーSの前から馬体に芯が入って動きにしなやかさが出てきたことが◎の最大の根拠なんだ。
山河 2歳夏のデビューから朝日杯FS、さらに牡馬3冠と場数を踏んで強くなった叩き上げタイプの印象が強いですね。条件さえ整えば、そろそろ重賞が取れそうです。
松浪 それが今回だと思ったんだけどな。折り合い難がネックだったけど、パドック、返し馬と落ち着き十分だった点も成長の証し。レースぶりもディセンバーSの再現というか、ほぼ完璧。ペースを考えると少し仕掛けが早かったが、確かにGⅠを狙える実力は示せた内容だった。
山河 まさにゴール寸前で勝利をかすめ取ったのがシックスペンス。内枠からの立ち回りはルメールさんはお手のもの。直線だけ外に出して。きっちりとジャスト1800メートルを走り切ってハナ差をものにしました。
松浪 パドックを見るとプラス10キロの数字通り余裕残しに見えたけどな。毎日王冠のようなスローの上がり勝負なら叩き台仕様で勝つこともあるけど、今回の展開・時計でも結果を残したとなると評価を上方修正しないとな。
山河 そこで問題となるのが検量室前取材では明らかにならなかった〝次〟なんですけど…。ルメールさん案件となると他のお手馬との絡みで、より厩舎から発信しにくい。まあ、歩様の関係で海外の線は薄いそうですが。
松浪 今年の日程だと大阪杯とドバイがモロかぶりだから、ジョッキーも奪い合いになる。そもそもGⅠ昇格の時に大阪杯を〝阪神外回り1800メートル〟にしておけば、レースの価値は上がっていたはずだし、厩舎関係者からも、要望を多く聞いていたんだ。
山河 どのレースかは分かりませんが1〜3着馬はそれぞれ適鞍ならばGⅠに手が届いて良さそうです。
松浪 この枠順でやる限り上位3頭の顔ぶれは変わらないはず。対して4着以下は展開ひとつで着順が変わっていいし、能力の開きも大きいな。
チューリップ賞日曜開催の〝弊害〟も山河 阪神のチューリップ賞にも触れましょう。勝ったクリノメイは阪神JFの大敗で評価を下げていましたが、メンバーが揃っていたサフラン賞の勝ち馬。右回りマイル実績を考慮すると人気の盲点になっていた感もありますが…。
松浪 ビップデイジーが阪神JF2着の走りを再現していればなかったはずの勝利だ。前半5ハロン59秒8→1分34秒0の決着は、土曜の3歳未勝利戦(60秒3→1分33秒9)と比較しても、明らかに低レベル。この時計で走れなかったとなると成長力に疑問符が付いてしまう。
山河 今年から開催時期が1週前倒しされ桜花賞までが中5週に。実力馬に参戦してもらうための措置ですが実効性はなかったようですね。気になるのが1992年以来となる日曜日施行だった点。GⅢ時代でも最重要トライアルだったのは、土曜施行ゆえ一流ジョッキーが確保しやすかった点が大きかったかと。中山記念の〝裏〟だと、有力馬であっても主戦が乗ってくれるとは限りません。
松浪 つまり今年も近年の傾向通りの桜戦線ということ。2歳女王アルマヴェローチェにクイーンC=エンブロイダリー、フェアリーS=エリカエクスプレスと同じく直行組がどこまで迫れるかという構図だな。
著者:東スポ競馬編集部