日本の職人の技術を学ぼうと、ドイツから来日した若手の見習い大工に密着しました。
ドイツ・ドレスデン出身 シモンさんドイツ・ドレスデン出身のシモンさん。
ワーキングホリデービザで今年1月に来日し、甲府市の佐野工業で大工の見習いとして働いています。
ドイツ出身の見習い大工 シモンさん:
「神社やお寺を見て日本の大工の技術はすごくかっこいいと思って、一流のイメージがあるからそれを見たくて、大工の伝統的な考えなども経験したいと思った」
「おはようございます」
車で走りながらこの日、向かった現場は北杜市武川町。
築100年以上の古民家のリノベーションで、内壁への石膏ボード張りがシモンさんの担当です。
棟梁 深澤さんとシモンさんシモンさん:
「古民家の場合は梁とか木がもともと色々な動きをしているから曲がっているということ。これをボードにうまくコピーしないと張れない。初心者とか素人にとって難しい」
棟梁 深澤久さん:
「そこで悩んでいれば1日たっても終わらない」
見かねた棟梁の深澤さん。
UTY棟梁 深澤久さん:
「このボードはもうダメなんだから、ここは無視して ここを優先的にやらないといけないんだから。ここをくっつけてから、ここはできるじゃん」
シモンさん:
「ん?」
棟梁 深澤さん:
「わかる?いっぺんにやろうとするとどうしてもダメだから、ここを切って入るようにして…」
シモンさん:
「あぁ、そういうことね」
シモンさん:
「できるかな…」
棟梁 深澤さん:
「できるかな じゃなくて、やるの」
一筋縄とはいきません。
シモンさん、指導されたことが伝わらずに作業を進めてしまいます。
シモンさん:
「新しいボードにそれをコピーするってこと?」
棟梁 深澤さん:
「そう、だから言ったじゃん。人の言うことをちゃんと聞いてなきゃダメ。自分で判断しちゃダメ」
16歳で初来日したシモンさん。およそ10か月間、日本語を学んだあとも旅行などでたびたび日本を訪れていましたが…
シモンさん:
「コミュニケーションのことで何とか理解できるけれど、100%はなかなか難しい。何やっていいか分からないときもある」
「毎日新しいことを学びます。感謝していますね。そういう方(棟梁や親方)がいないとどうにもならないから」
それでも…
UTY棟梁 深澤さん:
「普通の人だったら もうあきらめて いいやってなるんだけど、向上心がすごい。だから上達すると思う」
県内の建設業で働く人は3万人を割り高齢化も進んでいます。シモンさんのような存在は貴重です。
UTY「カモン、シモン、レモン、いただきます」
シモンさんを受け入れた佐野工業 佐野敏男会長:
「我々みたいな年寄りばかりだと話すことも同じようなことだけど、現場が盛り上がります。大事に育てて彼をいっぱしに私が生きている代に仕上げていきたい」
シモンさん:
「1日現場で忙しいし、ここに来ると落ち着くことができる」
シモンさん、休みの日や現場の休憩時間には神社や寺をめぐります。
シモンさん:
「ここも(建築の)技術が入っているし、神社があるとそのまわりに森や林が絶対にある」
「いろんな木の種類もあり、いろんな動物もいて、自然を大切にする。すごく日本のいいところ」
「よしできた」
石膏ボードを貼る作業が完成してもそれで「終わり」ではありません。
棟梁 深澤さん:
「俺たちの仕事として最低限きれいにしておいてあげれば次にここへ来る職人さんがひと手間ぬけるじゃんね」
「次の仕事をする人も気持ちよくできるし、昔からそういう風に教わってきたし、そうしてきたつもりだから、シモン君にもそうしてほしいなと思って」
シモンさん:
「そういうことはドイツの現場で経験してなかった。次の人のことも考えるし結局は施主さんのためだし自分のいい仕事になる」
大切なのは「日本の職人としての心得」。
UTY見習いとして駆け出したばかりのシモンさん。将来は日本で学んだ職人としての技術と心得を母国・ドイツで生かしていく覚悟です。
シモンさん:
「大工職人の考え方、施主さんとの関係とかおもてなしとか、ドイツでもみせてあげたいし、世界の皆さんに日本の素敵なところを見せてあげたい」