良いタイヤの選び方

「良いタイヤ」の条件を順不同で列挙すれば、

1)転がり抵抗が少ない(ヒステリシスロスが小さい)
2)ウエット(雨天)でもきちんとグリップする
3)摩耗に強い(経時劣化が少ない)
4)(ロード)ノイズが少ない
5)適度な柔らかさによる乗り心地の良さ
5)乾燥時のグリップ力が抜群
6)直進安定性が高い
7)衝撃吸収力が高い
8)クルマの重量をきちんと支えることができる

といったところでしょう。

ただし、これに様々なリム径などのサイズや 偏平率の違いによる特性を考慮し始めると、至るところでトレードオフが発生、つまり「あちら立てればこちら立たず」という状態になるわけで、これらをどのようにバランスさせるかというところに(タイヤメーカーは)腐心しているはずです。

さらに、電気自動車(BEV)のように、単位面積あたり荷重が異様に大きいクルマの登場は、ヨーロッパのタイヤ規格(ETRTO)が規定するところのXL(エクストラロード)規格に準拠していればOK、とは言い切れない可能性もあります。

通信や電力、物流などの社会インフラ系サービスが報われにくいのは、途中(発電所や送電線、あるいは基地局など)でどんなに高度な技術を駆使していても、消費者はラストワンマイル(Last one mile:顧客と直接つながる末端の区間)の品質だけで全てを判断してしまうことにあります。そして、クルマ(モビリティ)におけるラストワンマイルが、路面との会話を一手に引き受けている「タイヤ」に他なりません。しかも、クルマが停止した状態でステアリングをぐるぐる回しているようなリテラシーの低い消費者をもターゲットにせざるを得ないという宿命があります。

それらの条件に加えて、今や必須となり始めているのが「リサイクル」です。タイヤを作って、使ってもらった後は、(原材料に)戻す、という循環系、すなわちバリューチェーン全体でのエコシステムをどう構築していくべきかがタイヤメーカーには問われています。

実は、ブリヂストンは2012年の時点で早々とタイヤの「100%サステナブルマテリアル化」を宣言(https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2012052301.html)しています。

熱帯での天然ゴム資源に加えて、新たに乾燥帯や温帯で育つ天然ゴム資源となる植物を栽培し活用する技術の開発、新セルロース繊維の実用化などによる植物由来補強繊維の多様化/拡充、バイオエタノール由来のブタジエンを用いた合成ゴムの開発、バイオマスから作った中間原材料を用いてカーボンブラックを得る技術の開発、糖質からのバイオエタノール/植物油脂類からの脂肪酸や木材からのセルロースやリグニンなどを活用した高性能ゴム材料の開発、といったテーマに既に10年以上前から着手しています。

ここは一つ、私たちユーザーも、特に「使う」という場面において、タイヤに優しい運転や適切なメインテナンスを通じて、このバリューチェーンに積極的に参加すべきだと思いますね。

なお、ご自身がタイヤに優しい運転技能があるドライバーかどうかはショッピングセンター(GMS)の駐車場(床面が合成スラブで、それを保護する特殊塗料が塗布されているため、滑りやすくなっていることが多い)で簡単に判定できます。ここで音を立てずに移動できれば、あなたは合格です。

中嶋 健(なかじま・けん)東京科学大学 物質理工学院応用化学系・教授

来る11月23日に開催される「物質知性と共に育むサスティナビリティ価値創造」のセッション2(https://www.localknowledge.jp/2024/10/1659/#session2)(13:00開始)では、中嶋健セッションチェア(東京科学大)が、伊藤耕三氏(東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)そして、ブリヂストン・サステナブル先端材料統括部門のリサーチャの皆さんと「サスティナビリティ」を中心にした議論を展開します。「作る」「使う」「戻す」「(タイヤ以外に)活用する」のそれぞれのブリヂストンの担当リサーチャが登場します。

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