今年、大ブームとなっている「将棋」。現役中学生棋士・藤井聡太四段がプロデビューから公式戦史上最多となる29連勝を達成し、その模様は食事など対局とは直接的に関係ないところまでピックアップされました。他にも77歳まで現役生活を続けた加藤一二三(ひふみ)九段がテレビ番組でも引っ張りだこになり、にわかに注目を集めています。そんなプロ棋士は、自らの将棋とともに、様々な方法で生計を立てています。

●14歳にして191万円を稼いだ藤井四段

 真っ先に気になるのは、プロ棋士の対局料です。2017年現在、日本将棋連盟によると、プロ公式戦として認定しているのは17つありますが、「八大タイトル」となると以下の通りになります。「竜王戦」「名人戦」「王位戦」「王座戦」「棋王戦」「王将戦」「棋聖戦」、そして2017年から新設された「叡王戦」です。この中で最も対局料が高額だと言われているのは竜王戦です。日本将棋連盟によると、読売新聞社が主催する竜王戦の優勝賞金は将棋界最高の4320万円、そして敗者も1620万円もの賞金が手に入ります。

 ちなみに「スポーツニッポン」の報道によると、今年の同大会に出場した藤井四段は、竜王ランキング戦6組で優勝し賞金93万円、そして決勝トーナメントで増田康宏四段に勝利した対局で46万円、続く佐々木勇気五段(現在は六段)との対局では52万円の対局料が入りました。つまり14歳にして計191万円の対局料を得たことになります。

 このようにチャンスがあれば10代でも100万円台の対局料を稼げる棋士の世界ですが、タイトルを獲得しているトップ棋士はどれくらいの額を稼いでいるのでしょうか。日本将棋連盟は2016年の「年間獲得賞金・対局料ベスト10」を発表しており、トップ3は以下のようになっています。

 1位:羽生善治三冠/9150万円
 2位:渡辺明竜王/7390万円
 3位:佐藤天彦名人/5722万円

 将棋界の頂点に長年君臨する羽生三冠が頭一つ抜けています。ちなみに2014年には1億1900万円を賞金・対局料だけで稼いでいます。

●将棋教室、イベント出演で稼ぐ棋士も

 ただ様々な職種を紹介するサイト「キャリアガーデン」によると、現在約160人を超える棋士の中で、対局料と賞金だけで1000万円以上を稼ぐのは約10%とのこと。ほとんどの棋士は対局以外の部分でも収入を得ることが必要となります。その主なものとして「将棋教室」、「解説」、「雑誌や書籍の出版」、「普及活動・イベント出演」などがあります。

 将棋教室とは東京と大阪にある「将棋会館」をはじめ、全国各地にある将棋センターに出向いて、アマチュアの人々に指導するものです。同サイトによるとその相場は2〜4万円のようです。2つ目の解説の仕事は、各公式戦の会場で行なわれる「大盤解説会」、またここ近年増加しているインターネットテレビ中継などで対局の解説者を務めます。その対局についての観戦記などを執筆したり、自らの得意戦法を解説した指南本などを出版することも“仕事”の1つと言えるでしょう。

 そして最後に普及活動・イベント出演です。冒頭で紹介した加藤九段や羽生三冠、また竹俣紅女流初段のような棋士はテレビ番組に出演することでギャラを手にすることも多いようです。そのほかにも一見将棋とは関係ないイベントに出演することもあります。

 例えば、今年(2017年)7月23日に行われるJリーグ・柏レイソルのファン感謝デーには、サッカー日本代表GKである中村航輔選手が将棋好きということもあり、将棋イベントを開催します。ゲストとして有望株の1人である中村太地六段が出演しますが、こういったイベントにも積極的に参加することで、生計を立てる棋士も多いようです。

 珍しいパターンでは瀬川晶司五段のケース。一度は年齢制限によりプロの道を閉ざされましたが、アマ屈指の強豪としてプロと好勝負を繰り広げた結果、05年にプロに編入。それと同時に大手企業NECと契約し、史上初の企業所属棋士になりました。

 今後はその頭脳明晰さから、企業から援助をもらう棋士も増えてくるのかもしれませんね。


<参考サイト>

・将棋連盟:「将棋のプロ棋士ってどうやってお金を稼いでいるの?」
https://www.shogi.or.jp/column/2016/09/post_9.html

・「叡王戦」がタイトル戦へ昇格、将棋棋戦が8大タイトルに
https://www.shogi.or.jp/news/2017/05/863.html

・将棋連盟:竜王ランキング戦・決勝トーナメントについて
https://www.shogi.or.jp/match/ryuuou/rules.html

・柏レイソル・将棋イベント
http://blog.reysol.co.jp/news/2017/015785.html