日本の鉄道は都市部と地方で事情がかなり異なります。人口の密集する都市部では混雑や安全が問題ですが、過疎化の進む地方では利用者数の減少と路線の維持そのものが大きな問題です。では地方の路線では実際にどの程度の赤字が出ているのでしょうか。JR東日本およびJR西日本は、利用者数の少ないローカル線に関する情報を公表しています。

●ローカル線の問題を認識するための情報公開

 鉄道の運行や維持にはかなりのお金がかかります。利用者数の少ない地方の鉄道の中には、毎年多額の赤字が累積する路線も少なくありません。また環境負荷を考えれば、二酸化炭素を排出しながら効率の悪い輸送を行うことには問題があります。地方の過疎地域を走る路線は、絶えずこういった問題をはらんでいます。各社とも、そろそろ赤字路線に対しては、何らかの対策をとらなければならない段階に来ているようです。

 JR東日本JR西日本ともに公開しているのは、平均通過人員が2,000人/日未満だった線区です。以降、2019年度の赤字幅が大きい路線、ワースト3をピックアップしてみました。路線区間の右側の数値は左から赤字幅、1日の平均通過人員数の平均値、平均通過人員の1987年度(民営化した年度)に対する増減率です。

●JR東日本 赤字線区ワースト3

1位 羽越本線 村上〜鶴岡 -49.09億円 1695人/日 -70%
2位 奥羽本線 東能代〜大館 -32.42億円 1485人/日 -71%
3位 羽越本線 酒田〜羽後本荘 -27.11億円 977人/日 -78%

 もっとも赤字幅が大きい線区は、羽越本線(うえつほんせん)の村上〜鶴岡間でした。村上駅は新潟県村上市、鶴岡駅は山形県鶴岡市にあります。さらに3位酒田〜羽後本荘も同じ羽越本線の線区で、より北にある線区です。酒田駅は山形県酒田市、羽後本荘駅は秋田県由利本荘市にあります。羽越本線は、新潟県新潟市から途中で山形県を経由して秋田県秋田市まで日本海側を進む路線です。2位の奥羽本線東能代〜大館間は秋田県の能代市と大館市といった秋田県北部を東西に結ぶ線区です。

●JR西日本 赤字線区ワースト3

 一方、西日本ではどういった線区が赤字なのでしょうか。以下、2019年度実績での平均通過人員が2,000人/日未満だった線区の中で、赤字幅(2017年度〜2019年度平均)の大きいワースト3です。

1位 山陰線 出雲市〜益田 -34.5億円 1177人/日 -58%
2位 紀勢線 新宮〜白浜 -28.6億円 1085人/日 -74%
3位 小浜線 敦賀〜東舞鶴 -18.1億円 991人/日 -63%

 西日本でもっとも赤字幅が大きい線区は、山陰本線の島根県出雲市と島根県益田市を結ぶ線区。山陰本線は京都駅から中国地方の日本海側を経由して山口県の幡生駅(下関市)までという長大な路線です。京都、兵庫、鳥取、島根、山口の4府県を通る日本一長い路線ですが、そのうち、島根県内の海岸を走る区間が赤字幅最大となりました。2位の紀勢線は三重県亀山駅から和歌山県新宮駅を結ぶ路線ですが、そのうち新宮駅から白浜駅の区間は和歌山県の南部海岸沿いを走る線区です。3位の小浜線は福井県の敦賀駅から京都府北部の東舞鶴駅を結ぶ一つの路線です。

<参考サイト>
ご利用の少ない線区の経営情報を開示します|JR東日本ニュース
https://www.jreast.co.jp/press/2022/20220728_ho01.pdf
ローカル線に関する課題認識と情報開示について|JR西日本 News Release
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220411_02_local.pdf