ETCレーンでバーが閉じていても強引に通行する、前の車にピッタリくっついて通行する、バイクでバーの間をすり抜ける、といった行為はもちろんNGです。ETCのゲートは無人なので、バレないだろうと思う人もいるかもしれません。故意に行う人もいれば、うっかりそうなってしまった人もいるでしょう。うっかりの場合は後で連絡すればいいのですが、そのままにしていれば不正通行となってしまいます。さらに不正通行は必ずバレます。ではなぜ不正通行はなぜバレるのでしょうか。ここではその仕組みや、過去に起きた事例などを見てみましょう。
●すべて撮影されている
ETCのレーンには複数のカメラが設置されており、絶えず監視されています。この監視カメラは車種、ナンバー、運転手の顔といったものを撮影しながら、ETC車載器情報と実際の車種やナンバーが一致しているかどうかといった点まで判別しています。つまり、不正通行した時にはすでに情報が全て記録されています。NEXCO西日本は「常習者や悪質者については、積極的に警察へ通報し、証拠収集などに取り組んでいます」とコメントしています。
また不正通行した場合の罰則は、まずは30万円以下の罰金が科せられます(道路整備特別措置法第59条)。これはたとえ「会社から指示された」といった状況であっても、ドライバーは処罰の対象です。加えて、免れた通行料金と割増金(免れた通行料金の2倍の額)が徴収されることになります(同第26条)。さらに期限までに支払わなかった場合、延滞金を加えた額になるなど、ペナルティはかなり重いと言っていいでしょう。
●不正通行の定義と事例
ではどういった行為が不正とみなされるのでしょうか。具体的なところを見てみましょう。NEXCO中日本のサイトには以下の状況が挙げられています。
1、ETC車線で路側表示器が「STOP停車」を表示し、開閉バーが閉じているにもかかわらず、故意に開閉バーを押し破って通行した場合。
2、一般車線で通行料金を支払わずに通行した場合。
3、通行料金の安い車両でセットアップされた車載器を通行料金の高い車両に載せ替え、本来の通行料金を免れて通行した場合。
4、不払宣言書を係員に差し出し、規定の料金を支払わずに通行した場合。
5、通行区間を偽って、本来の通行料金を免れて通行した場合。
実際に検挙されたものとしては、ETCレーンを大型車で強硬突破を繰り返していた事例や、より通行料金の安い軽自動車の情報が登録されたETC車載器を普通車に取り付けていた事例、本人名義で登録された「ETC車載器」および「ETCカード」を障がい者割引登録している車両とは別の車両に載せ替えて使用していた事例、といったものもあるようです。
このETC車載器の「載せ替え」の事例はそれなりに多く見受けられるようです。これは車を乗り換えた際の不注意でも起こることがあるようですが、車を乗り換えた時には、以前の車載器はディーラーなどで再セットアップをする必要があります。このことは利用規約に明記されているので「忘れていた」では済まされない可能性があります。
●装着ミスやETCトラブルなどで抜けてしまった場合の対応
もちろん、うっかりミスでETCレーンをそのまま抜けてしまうこともあるでしょう。最も多いのは、ETCカードを装着し忘れるという事態です。当然そうなるとバーは開きません。またその場で急いでETCカードを挿しても反応しないことは多いようです。こういったうっかりのときは、バーの手前で止まることができていればその場のインターホンで係員と連絡をとりましょう。方法を教えてもらえます。ただしこの時車から降りたり、バックしたりすると危険です。
またもし、ETCトラブルなどでそのままETCを抜けてしまった場合は、早めに該当する区間を運営する高速道路会社の「お客さまセンター」などに申し出ましょう。この時、名前や住所、電話番号に加えてナンバー、日時や通行した料金所名などの情報も一緒に伝えます。後払いの方法を知らせてもらえるはずです。ETC関連のトラブルは時々起きるものと考えておくことも大事です。スピードを落とさないでいると、大きな事故を引き起こすリスクがあります。一般のETCでは時速20km以下の速度まで落としましょう。
<参考>
不正通行対策│NEXCO西日本
https://corp.w-nexco.co.jp/activity/maint_bus/unfair/
不正通行総合対策│NEXCO中日本
https://www.c-nexco.co.jp/activity/illegal/
NEXCO西日本の事業エリアにおける不正通行の事例|NEXCO西日本
https://corp.w-nexco.co.jp/activity/maint_bus/unfair/example/