『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)が話題を集めています。表紙カバーには「2020年 女性の半数が50歳超え」「2024年 全国民の3人に1人が65歳以上」「2027年 輸血用血液が不足」…と、不穏な予測が躍ります。

 著者は産経新聞社の河合雅司論説委員。内閣官房有識者会議委員、厚労省検討会委員、農水省第三者委員会委員などを歴任し、人口問題に関する討論を積み重ねてきました。また、一方では拓殖大学や大正大学で客員教授を務め、若い世代ほど「人口問題」を自分ごととして捉えている姿を目の当たりにしてきました。

 日本が少子高齢社会にあることは国民の常識ですが、その実態について正確に、また具体的に分かっている日本人は、どれぐらいいるのか? それが著者の抱いた疑問であり、楽観論や無関心を超えるアクションで、日本を変えていこうという力強い提言にもなっています。具体的な中身を少し見ていきましょう。

●人口減少カレンダー。本当の始まりは「2016年」から

 「人口減少カレンダー」は、2017年から2115年にいたる約100年間に予想される出来事を列挙した一覧表です。

2017年
「65〜74歳」人口が減り始める
2018年
75歳以上人口が「65〜74歳」人口を上回る
2019年
IT(情報技術)を担う人材がピークを迎え、人手不足が顕在化し始める

2023年
団塊ジュニア世代が50代となり、企業の人件費はピークを迎える
2024年
団塊世代がすべて75歳以上となり、社会保障費が大きく膨らみ始める

2040年
全国の自治体の半数近くが「消滅」の危機に晒される
団塊ジュニア世代がすべて65歳以上となり、大量退職で後継者不足が深刻化する
2042年
高齢者数が3935万2000人とピークを迎える

2115年
総人口が5055万5000人まで減る

 目立つものをあげただけでも、日本の将来像は一目瞭然です。それらの出発点は、実は表の中にはない2016年にありました。この年の年間出生数が97万6979人にとどまり、初めて100万人の大台を割ったのです。2016年といえば、1971〜74年生まれの団塊ジュニア世代女性がギリギリ出産可能な年齢でした。そのチャンスが失われたこれからの人口状況は、ますます厳しくなることが予想されるわけです。

●医療も介護も及ばなくなる? 2024年の日本

 メディアでは「2025年問題」として、日本が迎える「超・超高齢社会」像にフォーカスしていますが、実際に「団塊世代すべてが75歳以上になる年」は、2024年、今からたった7年後なのです。

 これに伴って社会保障給付が膨張するだけでなく、医療機関や介護施設の不足が深刻になることが指摘されています。しかし、著者はそれに先立って起こる問題にも目を光らせています。

 2021年頃に介護離職が増大して、企業の人手不足は深刻になっていきます。また、育児と介護を同時に行う「ダブルケア」の問題ものしかかってきます。育児の「ワンオペ」が騒がれる現在が平和に見えてくるほどです。

 2000年代に入ってから「老老介護」が社会問題化していますが、この傾向は終わりそうにありません。そして、2025年を過ぎた頃から急増するのが認知症患者です。2012年時点の認知症高齢者は約462万人に上り、65歳以上の7人に1人が該当します。ヨーロッパでは95歳上になると約半数が該当するといわれるため、高齢者の増加に伴って患者が増えるのは明らか。すでに登場しているという「認認介護」がどこまで増えるか、想像してみることを著者は呼びかけています。

●「日本を救う10の処方箋」とは?

 暗いことばかりの「人口減少カレンダー」に対して、著者は「日本を救う10の処方箋」を提案しています。「20世紀型成功体験」とは決別して、「戦略的に縮む」「豊かさを維持する」「脱・東京一極集中」「少子化対策」の4つをキーワードに構築された提案です。著者によれば「AIによる解決」は夢物語。10の処方箋は以下に列挙した通りですが、具体的な内容についてはぜひ本書をきっかけに、それぞれ考えていただきたいテーマです。

 1.「高齢者」を削減
 2.24時間社会からの脱却
 3.非居住エリアを明確化
 4.都道府県を飛び地合併
 5.国際分業の徹底
 6.「匠の技」を活用
 7.国費学生制度で人材育成
 8.中高年の地方移住推進
 9.セカンド市民制度を創設
 10.第3子以降に1000万円給付



<参考文献>

・『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司著、講談社現代新書)