首都圏に通勤する身としては、避けたいものの避けることができない、通勤ラッシュ。使う路線によってはホームで数本電車を見送らないと乗れない、一度乗ったらつり革につかまるどころか、人と人の間で潰され身動きが取れないなど、激しい混雑と毎朝戦っている人も少なくないと思います。首都圏の通勤ラッシュでも特に激しいといわれるのが、JR埼京線です。大宮〜大崎をつなぐこの路線は、停車駅は少ないけれど都内の主要駅には停車するために、埼玉からの通勤通学にはとても便利な路線です。

 しかしその一方で、「痴漢が多い」路線というイメージも定着してしまっている一面も。実際に「埼京線に乗っていて痴漢にあったことがある」と語る女性は少なくありません。なぜ、埼京線は痴漢が多いのでしょうか、その理由を探ってみました。

●最大の原因は混雑

 警視庁の呼びかけでも「混んでいる電車、乗車場所には要注意」と言われているように、混雑する路線では痴漢が頻発していて、これは埼京線に限ることではありません。被害者が痴漢に遭っても逃げる隙間もないことが理由でもありますが、停車時に多くの人が乗り降りするために、加害者は人波に紛れて逃げることが容易いという理由も挙げられます。

 ちなみに埼京線で痴漢が多発するのは大宮寄りの1号車で、ここはもっとも混雑するポイントと重なっています。混雑するのは新宿や渋谷など主要駅での乗り換え口が近いためですが、これらは痴漢にとってもすぐに逃げられるという大きなメリットになってしまっているのです。大宮寄りから離れていくと混雑は多少緩和されていくといわれ、もっとも遠い10号車は女性専用車両にもなっています。痴漢に遭いたくない、痴漢に間違えられたくない人は少し不便でも、大崎よりの車両に乗る方が得策といえるでしょう。

●駅と駅の間が長い

 停車駅が少ないということは、それだけドアの開かない時間が長いということ。長時間にわたって体を密着させられる=それだけ長時間にわたる痴漢行為も可能になるというわけです。もし乗車したのがドア付近で、次に開くのが2駅先なのに痴漢に遭ってしまったら――被害者は逃げ場がなく、痴漢にとってもメリットになってしまうことが分かると思います。

●埼京線は痴漢が多いというイメージが定着している

 2014年11月、30代の女性に痴漢行為を働いたとして、平塚市の教育委員の職員の男が現行犯逮捕され「埼京線なら痴漢できると思った」と供述したといいます。また過去には痴漢する仲間をネットで募り、埼京線で集団痴漢に及ぶという悪質な行為も起こっています。「埼京線でなら痴漢ができる」という非常識きわまりないイメージが、埼京線にはこびりついてしまっていることも、痴漢が多い一因ではないかと思われます。

 しかしJR東日本もこの状況を看過しているわけではなく、痴漢被害の撲滅を目指してさまざまな取り組みをしています。2001年にはJRの通勤電車としては初となる女性専用車両を導入、2009年には初めて車内に防犯カメラを設置するなどの対策を進め、実際には痴漢発生数は減少傾向にあるといいます。こうした取り組みは他路線、他鉄道会社にも波及していて、2017年には東京都鉄道局、東京メトロの地下鉄全車両に防犯カメラが順次設置されることが発表されています。

 痴漢は被害を受けた女性に深い傷を与えますが、痴漢の冤罪を恐れる男性も少なくはありません。誰もが安心して電車を使えるようになることを願ってやみません。


<参考サイト>

・なぜ「埼京線」に痴漢が多いのか? 元鉄道員が語る「駅間の長さが原因説」の矛盾
http://www.jprime.jp/articles/-/8355

・「埼京線なら痴漢できる」教育委職員を逮捕。なぜ埼京線は痴漢が多いのか?
https://matome.naver.jp/odai/2141644583674534801

・地下鉄車内を常時撮影=全車両に防犯カメラ?都営・メトロ
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017031401212&g=soc

・全国における女性専用車両の導入状況
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/15/151209/01.pdf