大切な身内が亡くなると、やらなければならない手続きが山ほど出てきます。葬儀や法要などの儀礼関係、税金や年金をストップする手続き関係、そして相続関係です。

 何から手をつければいいのかわからなくなりそうですが、儀礼は葬儀社やお寺が中心、相続については四十九日で一段落してからが本番になります。まずは、待ってくれない「手続き関係」に注力していきましょう。何が急ぐのかわかっていると、アタフタせずにすみます。大まかな流れをみていきましょう。

●当日、まずやらなければならないのは?

 身内が亡くなった当日。残された家族が悲しみにひたっている暇はあまりありません。近親者に訃報を伝え、通夜や告別式といった葬儀関係を整えていく必要があるからです。

 まずしなければならないのは、関係者への連絡と死亡届の提出。やってはならないのが、「最初に葬儀屋を呼ぶ」ことです。

 死亡届は、医師が作成する死亡診断書とセットになった書類で、これがないと、この先の手続きが一歩も前に進みません。そのための前提は「死亡診断」であり、人が亡くなったかどうかを判断するのは医師に限られているのです。

 病院で臨終を迎えた場合は担当医が死亡確認をしてくれますが、自宅で息を引き取った場合は、かかりつけの医師にお願いして死亡診断書を書いてもらうことになります。急死(在宅療養などをしていない元気な人の場合)であれば、まず119番で救急車を呼ぶこと。回復や蘇生の見込みがないと思われても、救急隊から警察へ連絡が行くと、その後の現場検証などがスムーズになります。

●エンディングノートがあれば葬儀屋も選べるが

 葬儀屋を選ぶのは、医師が死亡診断書を書いてくれて、同居の親族が死亡届に署名・押印してからということになります。ただし、同居していた人がいなければ、それ以外の親族、そのほかの同居者、家主などの順になっていきます。

 死亡届の提出先は、故人の本籍地か死亡地、届出人の所在地、いずれかの市区町村役場であればOK。これをもとに火葬や埋葬の許可がおりるので、窓口への届けは、葬儀社などの代理人が行うのが通例です。

 さて、エンディングノートがあったり、口頭で聞いていれば、葬儀方法の選び方、故人の関係者として誰に連絡をとればいいのかなど、この後の手続きは大分楽になります。ただ、葬儀や埋葬方法は正式の「遺言事項」とはされていないので、参考程度にしかならないことも多いでしょう。故人の希望を理解したうえで、現実的な案を詰めていくのが通例のようです。

 葬儀には費用がつきものですが、そこまで準備の行き届いた故人は少なく、喪主が肩代わりすることになります。さらに、初七日に達するまでの後に、故人の口座を凍結する必要があります。知らん顔で故人のキャッシュカードを使い、葬儀費用を引出したりすると、後の相続手続きが厄介になるので、避けましょう。

●14日以内に社会保険関係をクリアする

 故人の死後ほぼ14日以内に済ませる手続きとして、健康保険証の返却・資格喪失の手続きなどがあります。現役の会社員であれば、勤務先が厚生年金とともに手続きを代行してくれますが、リタイア後、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している人では、遺族がしなければなりません。14日以内に、故人が住んでいた市区町村役場の窓口で。介護保険を受けていたときは、被保険者証の返却と資格喪失の手続きも、同時に行いましょう。

 さて、故人の健康保険の扶養に入っていた人は、故人が亡くなると同時に、その資格を喪失しますので、健康保険証を返却して、新たな制度に加入する手続きが必要になります。国民健康保険と国民年金に新しく加入、あるいは家族に会社員がいて要件を満たせば、その人の被扶養者への切り替えも可能です。

 これらの手続きを行うときに忘れたくないのが、葬儀や埋葬にかかる費用の補助申請です。故人が国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合は葬祭費が、会社の健康保険に加入していた場合は埋葬料・埋葬費が支給されます。いずれも領収書などの必要書類をそろえる必要があり、急ぐ必要はありませんが、保険証の返却と窓口が同じなので、同時に請求するほうが気は楽です。

 最後に、世帯主変更届の提出があります。ただし、亡くなった人が世帯主でなければ必要ありません。また、世帯に残された成人が妻だけだったりと、新しく世帯主になる人が明らかな場合、変更届は省略できます。


<参考文献>
『わかりやすい図解版 身内が亡くなったあとの「手続」と「相続」』(岡信太郎・本村健一郎・岡本圭史監修、三笠書房)