●他人事ではない当て逃げ被害

 車両で物損事故を起こしたにもかかわらず、道路交通法に定められた義務を果たさずに運転手がその場から立ち去る行為を「当て逃げ」といいます。義務には「危険防止等措置義務(破損した危険物の撤去や、負傷者がいればその救護を行う義務)」と「報告義務(警察への通報を行う義務)」があり、危険防止等措置義務違反は1年以下の懲役または10万円以下の罰金、報告義務違反は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されます。

 道路交通法では交通事故の定義を「道路上で発生した事故」と定めていますが、この「道路」とは道路そのもののほかに、道路に隣接する不特定多数の人が共用する場所も含まれます。つまり、コンビニやスーパーの駐車場で起きた場合なども当て逃げとして認められます。身近な場所でよく起きる事故なので、誰にとっても他人事とはいえないでしょう。

 しかし実際には事故を起こした当人が気づいていないことも多く、加害者が見つからないことも珍しくありません。それでは泣き寝入りするしかないのかといえば、もちろん違います。当て逃げの被害にあったときはどんな行動を取ればいいのか見ていきましょう。

●被害にあったらこれだけは忘れずに!

 当て逃げされてしまって加害者が誰かもわからないとしても、次の4点の行動は忘れないようにしてください。

 警察に通報する:当て逃げをされたら、気づいた時点ですぐに110番が鉄則。加害者は義務を果たさずに逃げてしまったのですから、犯罪として警察に知らせましょう。このとき作成される「事故証明書」は当て逃げの証拠品として扱われ、損害額の請求に使用する重要な書類です。

 なるべく詳細な加害者の情報を記録する:事故は突然起きるので、ナンバーを完璧に覚えるのは難しいでしょう。しかし車種、車の色、運転手の外見など記憶に残っている特徴だけでもメモしておくと捜査の手がかりになります。ドライブレコーダーを積んでおくことも有効です。

 事故の情報を収集する:防犯カメラの映像から加害者が判明することもあります。駐車場には防犯カメラを設置していることが多いので、管理者にお願いして確認させてもらうとよいでしょう。また、現場周辺で事故当時の目撃者がいないか探してみるのも効果的な方法です。

 保険会社に連絡する:加害者がわかっている場合は、相手側の保険会社に損害額を請求することになります。しかし加害者がわからない場合は、自分が加入している保険会社に相談しましょう。当て逃げは保証の範囲外になる保険もあるので、一度見直してみてください。

●加害者がわからなくても行動しよう

 当て逃げは事故後に気がつくことも多く、加害者が見つかりにくいといわれます。ネット上の相談などを見ると「警察は当て逃げ程度では捜査してくれない」というような書き込みもしばしばあり、「加害者に賠償を求めることは無理かもしれない」と弱気になってしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし近年は加害者が判明する確率が上がっているので、あきらめないほうがいいのです。

 加害者がわかるようになってきた大きな理由は、当て逃げされたときに取ってほしい行動でもご紹介した「ドライブレコーダー」と「防犯カメラ」の普及です。これらが事故の瞬間を捉えていれば、高確率で加害者を特定できます。当て逃げされた現場の防犯カメラなら加害者を録画している可能性は高いですし、近くに停まっていた車にドライブレコーダーが積まれていれば、そこに加害者が録画されているかもしれません。泣き寝入りせず証拠を探してみましょう。

 また、当て逃げの加害者が自首する可能性もゼロではありません。もし加害者が出頭したときに被害者が届出をしていなかったら、警察は被害者に連絡できませんよね。加害者がわからなくても「どうせ見つからない」と決めつけてあきらめずに、見つかったときのことを考えて行動してください。

<参考サイト>
当て逃げされたら知っておきたい5つのことを弁護士が解説!│リーガルモール
https://best-legal.jp/victim-of-hit-and-run-3789/
当て逃げされたら保険で補償できる?気づかなかったら泣き寝入りするしかない?│チューリッヒ保険会社 
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-hitandrun-insurance/
駐車場の当て逃げ被害で泣き寝入りしない!逃げ得への対処法│交通事故弁護士相談Café
https://xn--3kq2bx53h4sgtw3bx1h.jp/kotsujiko-8065.html