米スリープテックブランド「Vesta」がエンジェルラウンドで「天図資本(Tiantu Capital)」から1000万元(約1億6000万円)超を調達した。創業者兼CEOの谷振宇氏は、調達した資金を新製品の開発、海外運営センターの拡張、物流網の構築に充てると説明。同社は2020年6月にもシードラウンドで「険峰長青(K2VC)」から数百万元(数千万円)を調達している。

2020年5月に米国で設立された同社は、環境にやさしく、ハイテク感にあふれる新しいタイプのスリープテック製品を開発し、製品を通じて革新的な睡眠体験の提供を目指している。

2020年9月にクラウドファンディングプラットフォーム「Kickstarter」で最初の製品となる恒温ビロード掛け布団「Vesta Duvet」をリリース。発売後10日間の売上高は100万元(約1600万円)を超え、発売月の予約販売額は220万元(約3500万円)に上った。

リサーチ会社「Frost & Sullivan(フロスト&サリバン)」のリポートによると、世界の「スリープエコノミー」市場規模は4320億ドル(約44兆5000億円)を超え、年間成長率は6%以上に達する。うち寝具、マットレス、枕、パジャマといった睡眠用品の市場規模は3000億ドル(約30兆9000億円)を超える。消費の高度化と長引く感染症流行によって海外における家庭用品のオンライン消費が盛り上がる中、Vestaは世界的な「睡眠用品」グレードアップの流れにビジネスチャンスを見出した。

スリープエコノミー市場

同社によると、中国と同じく欧米先進国でも20〜30代の若年層の消費能力がここ数年高まりつつある。この消費者層は安くて使いやすいだけの製品には満足せず、デザイン性やハイテク要素、環境保護性能を重視し、快適な睡眠のためにもそうした製品を求めているという。

同社が海外市場から参入したのは、欧米の消費者が比較的多くのコストを睡眠に充てるためで、海外市場を開拓すればブランドの実績を積み上げることもできる。同社が行った消費者アンケートによれば、睡眠用品の分野で欧米の消費者の消費能力は中国国内に比べ4〜6倍に達する。

今後は「ロボット開発」「革新的デザイン」という強みを生かして製品ラインナップを拡充し、今年2月には3種類の新製品を発売する計画だ。新製品には新素材を採用し、従来型製品のデザインを見直すと共に環境保護を意識して再利用可能なパッケージを使用する。ターゲットは欧米の中間所得層で、価格は300〜1000ドル(約3万1000〜10万3000円)に設定する。

また、世界的なカメラマンやイラストレーター、ディレクターと提携して製品のビジュアルイメージとブランドコンセプトの確立を図っている。海外のデザイナーとデザイン性やコンバージョン率が高いウェブサイトの構築も進めており、今年2月の公開を予定している。

同社は北京、深圳、米シリコンバレーにオフィスを構える。創業者の谷氏と徐凱強氏はシリコンバレーのロボット企業で管理職を務めた。工業デザイナーの鄭欣然氏はロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)を卒業後、家電メーカーのワールプール・コーポレーション、デザインオフィスのアルライデンでデザインを担当。コアメンバーはイェール大学、ペンシルべニア大学、パーソンズ美術大学、香港大学を卒業し、マッキンゼー・アンド・カンパニー、コカ・コーラ、アップルなどで勤務経験があり、消費者向け製品、海外販売、家庭用品の分野で豊富な経験を有する。

天図投資パートナーの潘攀氏は、新しい販売チャンネルや消費者とのコンタクト手法によってニューリテールブランドが急成長しており、中国のサプライチェーンの潜在的価値も高められていると分析。海外での急速なEC普及に伴い、海外進出するDTCブランドが恩恵を受けているとの見解を示した。

Vestaについては、海外の快適な睡眠のニーズに対する独自の分析と現地のサプライチェーンを効果的に結び付け、新技術とエコロジーを融合したアイデアで睡眠シーンの製品を刷新していると評価。さらに現地ユーザーとのコミュニケーションを通じて市場を動かし、次世代DTCの代表ブランドに成長する可能性があるとの考えを明らかにした。

シードラウンドで出資した険峰長青の投資マネージャー秦瀟氏は、世界中の都市住民が一様に睡眠体験の向上を望んでいると指摘。Vestaが快適な睡眠に対する北米の消費者の細かいニーズを把握し、ハイテクと環境保護性能によって製品のコンセプトを見直すことで、業界に新たな美的センスとイノベーションをもたらすと評価した。留学経験者による起業の典型事例として、振宇氏と凱強氏がユーザーに価値を創造し、中国のサプライチェーンの強みを発揮しながら世界に向けて製品を販売して欲しいとしている。
(翻訳・神戸三四郎)