1月4日、VR動画コンテンツなど手掛けているVR関連企業「愛奇芸智能(iQIYI Intelligent Entertainment Technology)」が、シリーズBで「屹唐長厚基金(Changhou Capital)」「清新資本(fresh capital)」から数億元(約数十億円)を調達した。これは2020年以降の中国VR関連分野における最高額の資金調達である。調達した資金は主にVR技術、アルゴリズム、新製品の開発に充てられ、コンテンツへの投資も増やしていくという。

愛奇芸智能は動画配信プラットフォームの大手企業「愛奇芸(iQIYI)」がインキュベートしたスタートアップ企業で、2016年からVRデバイス、VRコンテンツの開発を行っている。同社の熊文CEOは、中国のVR/AR産業の爆発な成長は目前だと見ている。その理由は、世界的なVR市場の成長だ。2020年のVRゴーグル販売台数の世界トップは「Oculus」で、200万台を超えており、2021年には約600万台出荷されると見られている。中国市場は通常世界市場の30%〜35%を占めるため、現在の中国市場のVR/ARデバイスの市場規模は約200万台という計算になる。しかし、中国の販売台数はまだまだこの数字に程遠いため、今後大きな成長が期待できるというわけだ。

同社は2017年3月に世界初の4K対応VRヘッドセット「奇遇」を発表。2018年に4Kの360度動画対応、通常動画なら8K対応の「奇遇2」を発表。そして2020年4月には、中国初のゲーム専用VRヘッドセット「奇遇2Pro」を発表した。これは6Dof(Degree of Freedom、VR映像の自由度を示す指標)に対応したデバイスだ。

これまでのVRヘッドセットの多くは、自由度が3Dofだった。3Dofは首の前後、上下、左右の回転に対応するものだ。6Dofは、それに加えて体の移動にも対応する。

3Dofと6Dofの比較、画像はインターネットより

映画を視聴するなら3DofのVRデバイスで問題ないが、ゲームで求められる障害物回避などの複雑な動きは、6Dofでなければできない。それに対応したデバイスを発表したことで、愛奇芸智能のハードウェアのラインナップは整ったことになる。

ハードだけでなく、VR/ARの成長のためにはコンテンツも必要だが、これは親会社の愛奇芸の得意分野だ。現時点ですでに愛奇芸の動画コンテンツを愛奇芸智能で視聴できるようになっている。さらに愛奇芸は、制作した映画が第77回ベネチア映画祭のVR部門でVRストーリー賞を受賞していることからも分かるように、コンテンツ開発にも力を入れている。そうしたコンテンツの供給もあって、愛奇芸智能の利用者の1日平均使用時間は1時間に達したという。

そして、5Gの普及もVR/ARの成長を後押ししている。特に中国は、国家戦略として5Gを推進しており、中国工業情報化部(日本の経済産業省に相当)の「5Gの発展の加速化に関する通知」では、5G+VR/ARの応用を普及させ、新たな消費市場の創出を行うよう求めている。

世界市場を見ると、調査会社IDCのレポートによれば、VRヘッドセットの出荷台数は2024年に7670万台になると見込まれ、年平均成長率は81.5%となる。また、ゴールドマン・サックスは、2025年にはVR/AR市場の売上高が800億ドル(約8兆2000億円)を超え、うち450億ドル(約4兆6000億円)がハード、350億ドル(約3兆6000億円)がソフトによるものになると予測している。(翻訳:小六)

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