中国のIT大手アリババグループは昨年下半期、傘下に抱える地域密着型生活サービスのプラットフォーム「口碑(Koubei)」を通じ「美味不用等(Meiwei Buyongdeng)」を買収していたことがわかった。同社は、飲食店向けに予約・順番待ち受け付けなどのトータルソリューションをSaaS形式で提供する。

アリババの生活関連サービス分野における法人向け事業としては、2019年初めに美味不用等と同様のサービスを展開する「客如雲(Keruyun)」を買収して以来の大きな買収案件だ。

2013年1月に設立された美味不用等は、飲食店向けにはSaaS、一般消費者向けにはアプリの形でサービスを展開する。飲食店の運営効率やマネジメント、マーケティング、コスト改善、UX(顧客体験)などに関するソリューションを提供する。昨年6月時点で中国の352都市にある30万軒以上の飲食店が同社のサービスを導入し、年間のべ10億人の消費者が利用している。

同社は設立当初にエンジェルラウンドで盛大集団(Shanda Group)から数百万元(約数千万円)を、2014年にシリーズAでマトリックスパートナーズ・チャイナから数百万ドル(約数億円)を、さらに天図投資(Tiantu Capital)からシリーズBで2000万ドル(約20億円)を調達している。続いて2015年10月にはシリーズCでレビューサイト大衆点評(Dianping)とバイドゥ(百度)などから5億元(約80億円)、2016年12月にはシリーズC+でアリペイ(支付宝)のレビューサービス口碑や中視資本(CCVC)から数億元(約数十億円)、2018年5月にはシリーズD1でアリババとオンライン旅行会社Ctip(現Trip.com)から4億元(約64億円)を調達した。つまり、美味不用等の株主には飲食店を中心とした口コミサービスの二大大手である大衆点評と口碑、中国のIT御三家の一角を占めるバイドゥ、OTA最大手のTrip.comと4社の大手IT企業が名を連ねているわけだ。

しかしシリーズD1以降、美味不用等は予想通りの急成長は果たせなかった。複数の経営幹部が退社し、資金の調達も滞った。アリババは昨年初めには美味不用等に対し、具体的に買収の話を持ちかけていたようだ。美味不用等の主要株主もおおむね容認したため、協議は順調に進んだという。シリーズD1完了時には40億元(約640億円)の評価額をつけていた美味不用等だったが、今回の買収額はこれを大きく乖離したものになった模様だ。

アリババのパートナーであり同社のローカルライフサービス事業を統括する王磊総裁は2019年末時点で、未来の方向性として「数智化(デジタル化・インテリジェント化の並行)」を掲げていた。同業のライバルである美団(Meituan)のシニアバイスプレジデント王莆中氏もちょうど同時期に「需要サイドにおけるデジタル化はすでに中後期の段階に入っているが、供給サイドのデジタル化はまだ始まったばかりだ。供給側のこれまでのやり方では、ユーザーの新しいニーズには応えられない。次世代型店舗をいち早く提案するとともに、経営のデジタル化、マーケティングの多様化、サービスのインテリジェント化を支援することが美団にとっての急務だ」としていた。

その美団も昨年上半期、飲食業界向けSaaSプロバイダー「Hualala(嘩啦啦)」に外部出資者として最高額を投じている。

作者:WeChat公式アカウント「財経塗鴉(ID:caijingtuya)」、Stone Jin

(翻訳・愛玉)