先日、中国政府による唯一の自動運転車走行試験に関する報告書「2020年北京市自動運転車両路上試験報告」が発表された。

路上試験走行距離が大幅に増加

最も目につく走行試験のデータを見ると、前年に比べて走行距離が大幅に増加している。2020年12月時点で、北京市の安全走行距離は221万3400キロメートルに達し、前年末から112.8%の増加となった。

中でも他社を圧倒しているのが年間走行距離112万5300キロメートルのバイドゥ(百度)だ。北京市の路上試験の実に96%はバイドゥが稼いだ計算になる。

このような試験走行は複数のエリアや道路レベルで総合的に行われ、北京市ではR1からR4の4段階の難易度が設けられている。現時点で難易度R4の走行試験に進んでいるのはバイドゥのみだ。

しかも国内で技術レベルや指標が最も高く、テスト環境が一番シビアな路上試験用ナンバープレート「北京T4」もバイドゥ以外に取得できた企業はまだいない。

北京市では、自動運転車の走行試験においてバイドゥの絶対的存在感が増すばかりだ。

北京市のロボタクシー、9割の乗客がAIを信頼

試験走行距離のほかに、有人走行試験も大きなハイライトだった。

2020年8月から北京市では自動運転技術を搭載したロボタクシーの試験運用が始まった。口火を切ったのはやはりバイドゥで、12月以降に「小馬智行(Pony.ai)」などが加わった。

ロボタクシーは自動運転の実用化が強く期待されてきた分野であり、ビジネスの観点からも注目度が大きく高まっている。まさに有人自動運転車における戦略的要地だ。

ロボタクシーのユーザー体験は、技術レベルを直接反映している。調査によれば、ロボタクシーに試乗した人のうち63%が6年以上の運転経験を持つベテランドライバーで、18〜35歳の年齢が60%を占めていたという。

ロボタクシーに試乗したボランティアの満足度は総じて高く、97%が有料であってもこのサービスを利用したいと回答した。技術面では9割近くの利用者が「良い」以上の評価をつけている。

初の無人走行試験

北京市ではさらに、初の無人自動運転車走行試験を開始する。

現在、企業14社の自動運転車両87台が北京市の一般道路走行試験用ナンバープレートを取得している。しかし2020年に無人走行試験用ナンバープレートの交付が始まって以降、それを取得できたのはバイドゥだけだ。

昨年12月、バイドゥは無人運転特定技術試験に合格し、初となる無人運転路上試験(第一段階)用ナンバープレートを5枚取得した。

公道の長さにしても基準の制定にしても、北京市はほかの都市の手本となっている。総距離6万4827キロメートルの無人運転試験環境を整え、試験技術の実行可能性、また試験方法や指標の信頼性を確保している。

進む中核部品の国産化

報告書では、自動車の中核部品がますます国産化へと進んでいることが示されている。

例えば、中国の自動運転車に採用されているLiDARのうち71%を中国メーカーが占めている。

LiDAR開発の代名詞的企業「Velodyne」のシェアは2018年が80%、2019年が60%と次第に勢いを落とし、現在では29%にまで減少した。車両本体も国産化の流れが加速しており、純電気自動車に限っては完全国産化が実現している。

さらに中国国内で低コストかつ実用性の高い試験プランが打ち出された。自動運転車の公道試験を監督する北京市の第三者機関「北京智能車聯創新中心(Beijing Innovation Center for Mobility Intelligence)」とバイドゥが複合現実を取り入れた試験システムを共同開発、現実の環境にバーチャルの交通目標などを組み込み、さまざまなシーンのテストを行えるようにした。

このような閉鎖環境での体系的な試験は、距離換算で公道試験の100倍以上の効果をもたらすという。

自動運転車試験のレベルも向上しており、試験環境に雨天や霧などの特殊な天候が組み込まれるようになった。データを参照すると霧発生時はセンサー性能が通常昼間の45%に留まっていた。これを見る限り、全天候型の自動運転車が実現するまでには、まだまだ時間が必要だろう。

作者:量子位(WeChat ID:QbitAI)、簫簫

(翻訳・畠中裕子)