2021年2月19日に複数の関係者から得た情報によると、スマホ・IoT家電大手の「シャオミ(小米、Xiaomi)」が自動車製造を今後の戦略と決定したという。自動車製造チームは同社創業者でCEOの雷軍氏が直接率いる可能性がある。この情報を受け、シャオミの株価は一時11.81%上昇した。

本当にクルマを作るのか

2020年12月末にも、シャオミがEV大手のBYDと自動車を共同開発するとのうわさが流れたが、両者ともすぐにこれを否定した。しかし、シャオミはこれまで複数の新興EVメーカーに出資するなど、自動車産業に並々ならぬ興味を見せている。

また、シャオミが取得している2000以上の特許のうち、自動車に関連するものが約10項目ある。内容はクルーズ・コントロール、ナビゲーション、遠隔操作、運転支援、自動駐車などで、自動車製造に向けた準備だと見ることができる。

市場環境もEV開発を後押ししている。中国は2025年に自動車販売台数の20%を新エネルギー車にするという目標を掲げており、これは2030年までに炭素排出のピークアウト、2060年までにカーボン・ニュートラルを達成するための重要な施策だ。こうした国家戦略によって、新エネルギー車は今後十数年にわたり成長産業となるだろう。

クルマづくりの難しさ

シャオミは10年かけて中国を代表するブランドに成長したが、それはスマホ市場でのことであり、新エネルギー車の開発がすぐにできるということにはならない。

自動車開発には巨額な資金だけでなく、リーダーが全神経を傾けることが必要だ。その点から言って、雷氏が自動車だけに集中し、スマホ事業を他人にまかせることはありえず、シャオミのスマホ事業も雷氏なくては成り立たないだろう。したがって、シャオミにとって現実的な選択肢は、既存の自動車メーカーと共同開発するということになる。

また、シャオミの最大の強みは低価格だ。スマホなどにおいては、全世界で部品を調達することでコストを抑え、低価格での販売を可能にした。しかし、スマホは品質の良い部品を組み立るだけで製品として成り立つが、自動車製造はそうはいかない。アセンブリの工程にも長年の蓄積が必要だ。

実際に自動車開発を試みた結果失敗した有名企業の好例が英の電気機器メーカー・ダイソンだ。ダイソンは600人の開発陣でプロトタイプを製造したが、収益化が見込めないため撤退を発表した。蓄積のないところからスタートして成功したのはテスラだが、500億ドル(約5兆3000億円)の投資で工場を建造することのできるインターネット企業は世界でも限られている。

そして、これらの課題をクリアできるとしても、低価格のEVは国内にすでに複数あり、シャオミが競争に勝てるかどうかも不透明だ。そのため、今すぐ新エネルギー車製造に乗り出すかどうかは、慎重に判断しなければならないだろう。

シャオミ以外のクルマづくり

シャオミのほかにもインターネット企業が自動車製造を始めるといううわさが後をたたない。アップルがヒュンダイに製造を委託し2024年にアップル・カーを発売、バイドゥ(百度)が「吉利汽車(Geely Auto)」と戦略的パートナーシップを結び完成車を製造など現実味のある報道も出ている。

それに伴い、サプライチェーンの変革が起き始めている。未来の新エネルギー車は部品すべてが電子化、スマート化、デジタル化されるため、フォックスコン、エヌビディア、「京東方(BOE)」などの電子部品メーカーなども自動車部品の開発を始めた。

スマホで成功したシャオミは、こうした自動車業界の変化を注視しながら参入に向けた準備をしていることだろう。果たしてスマホ同様に新エネルギー車の価格を大きく引き下げる企業として登場するのか、今後の展開に注目したい。

(翻訳・小六)