先ごろ、バイオ医薬品のCDMO(開発製造受託)企業「百因諾生物(BioInno Bioscience)」が、プレシリーズAで1億元(約16億円)近くを調達したと発表した。「泰格医薬(Tigermed)」と「泰煜投資(TigerYeah Capital)」が共同でリード・インベスターを務め、「東邦証券資本(Orient Securities Capital)」「十棱投資(Tenedge)」などがコ・インベスターとして加わった。調達した資金は蘇州市太倉にある百因諾生物の研究開発・生産基地の建設や人材確保に充てられる。

百因諾生物は昨年7月にもエンジェルラウンドで1000万元(約1億6000万円)以上を調達している。

急成長中の医薬品アウトソーシング業界

中国の新薬開発市場が急速に成長するのに伴い、医薬品アウトソーシング業界も勢いを増している。医薬品の開発や製造を請け負う「薬明康徳(Wuxi AppTec)」や「康竜化成(Pharmaron)」などの企業はこの勢いに乗ってセカンダリーマーケットへの上場を果たした。

医薬品アウトソーシング業界では研究開発、上市、販売とそれぞれ細分化したアウトソーシングサービス機関が大量に生まれてきた。典型的なものとして医薬品開発業務受託機関(CRO)、医薬品開発製造受託機関(CDMO)、医薬品製造受託機関(CMO)、医薬品販売業務受託機関(CSO)がある。

統計によれば、中国の医薬品開発アウトソーシング市場は2014年の21億ドル(約2240億円)から2018年には55億ドル(約5900億円)へと増加、2023年には191億ドル(約2兆円)に達すると見込まれており、2018年から2023年の年平均成長率は28.3%となる。アウトソーシングサービスの浸透率は2014年の26.2%から2018年には32.3%と上昇し、2023年には46.7%になると予測されている。

確かな技術力を持つ国際チーム

2019年末に創業した百因諾生物はバイオ医薬の開発・製造受託サービスを行っており、世界の製薬会社向けにバイオ医薬品用細胞株の構築とスクリーニング、製造技術開発、臨床材料の生産、臨床申請、上市品の適正製造、サプライチェーン管理などのサービスを提供しているほか、世界トップクラスの細胞工学技術や細胞培養用培地などサプライチェーン関連製品も扱っている。同社はすでに安定した供給体系を構築しており、低コストながら効率・品質・安定性の高いサービスを実現している。

董事長兼CEOの趙暁剣博士は細胞培地を研究する科学者で、バイオ医薬品の専門家でもある。これまで科学サービス企業「サーモフィッシャーサイエンティフィック」傘下の細胞培地大手「Invitrogen」や化学・医薬品メーカー「Merck-Millipore」で技術ディレクターを務め、今では世界的に浸透している高性能無血清培地や添加剤を何十種類も開発してきた。バイオ医薬品分野での経験は数十年に及ぶ。

趙博士はこう語る。「百因諾生物の創業チームにはCDMOやサプライチェーンサービスの著名な専門家が世界各地から集まっており、その多年にわたる経験のおかげで我が社は世界一流のCDMO運営能力を築くことができた。また独自開発した世界トップクラスの細胞培養用培地や細胞工学技術の数々により、高品質でリーズナブルなサービスを実現している。創業メンバーの一人であるScott M Wheelwright博士は精度管理の分野における著名な研究者で、同博士の主導のもと建設された研究開発・生産基地は世界一流の品質管理体系を備えており、国際品質認証の要求を満たせるほどの水準となっている」

百因諾生物では、業界のボトルネックを次のように分析している。

1) 産業基盤が弱く、原料や設備などのサプライチェーン製品を輸入に頼っている。特に細胞培養用培地に関しては米国企業の寡占状態となっている。
2) 製造技術開発や分業化の遅れにより、イノベーションの成果を効率よく実用化することができていない。これにより中国のバイオ医薬品分野の成長が滞っている。
3) 品質の面でさらなる改善が求められる。現在、中国で国際品質認証を取得しているのは1社しかなく、中国製医薬品の輸出や海外医薬品の中国生産を阻む足かせとなっている。

百因諾生物はこれらのボトルネックを打ち破るために、世界トップクラスのイノベーション型CDMOサービスプラットフォームの構築を目指している。
(翻訳・畠中裕子)