5G通信向けのRF(無線周波)チップを開発する「地芯科技(Geo chip)」がシリーズAで1億元(約17億円)近くを調達したことがわかった。リード・インベスターは「英華資本(China Lite Capital)」、コ・インベスターは中国の半導体メーカーの「瑞芯微電子(Rockchip)」と「岩木草投資(YMC INVESTMENT)」だ。「青桐資本(Phoenixtree Capital)」が財務アドバイザーを務めた。

共同創業者の呉瑞礫氏によると、調達した資金は開発、販売、アフターサービス、運転資金などに充てられるという。

地芯科技は2018年創業で、主な製品はRFフロントエンドICとRFトランシーバICだ。同社は5G対応デバイスを開発するメーカーとすでに提携しており、一部製品の量産化が始まっている。2021年には出荷数が大きく増えるだろう。

地芯科技の製品が採用される可能性のある分野

製品と技術面の差別化

フランスの調査会社「Yole」の試算によると、全世界のRFフロントエンドICの市場は2023年に350億ドル(約3兆8000億円)に達するという。中国国内の場合、現時点でシェアの90%を海外メーカー、特に米国メーカーが占めており、サプライチェーンの安全性に懸念が持たれている。そのため、国産品の採用を増やす動きが顕著であり、RFフロントエンドICを開発するメーカーが相次いで登場した。

地芯科技もこのような背景の中で誕生した企業だが、他社がスマホ向けの開発を中心とするのと異なり、ブルートゥーススピーカー、ルーター、ゲートウェイ、リモコンおもちゃ、プライベートネットワーク通信など、より専門性の高い分野を中心とする。そのことにより製品の差別化を図り、迅速なシェア拡大を目指している。

技術面での違いも顕著だ。呉氏によると、他社のRFフロントエンドICはIII-V族半導体(III族元素とV族元素を用いた半導体)がメインだが、III-V族半導体の特許の大半を海外の大手企業が保有しているため、それを利用すると必然的にコストが高くなる。そこで、地芯科技は独自のシリコン半導体技術を開発した。そのことにより、海外製品と同じスペックを保証した上で、ICのサイズを70%〜80%に抑えることができ、コストが30%〜50%安くなるという。

RFトランシーバICの国産化

5G通信ネットワークを普及させるためには、広い範囲をカバーするマクロ基地局のほか、数十メートル範囲をカバーする小型のフェムト基地局も必要となる。基地局にとってRFトランシーバは必要不可欠な部品で、今後5年間の中国の5G基地局の建設が予定通り進めば、毎年100億元(約1700億円)超の市場となる。しかし、現時点での中国の基地局用RFトランシーバICの自給率はほぼ0であり、米「アナログ・デバイセズ」が独占している状態だ。

この分野においても、地芯科技は海外製品と同等の性能と大幅なコストダウンを実現している。すでに中国の基地局建設に関わる複数のメーカーが同社とコンタクトをとっており、今後の量産化と導入が期待されている。

RFチップはアフターサービスも必要となり、この点にも地芯科技は力を入れている。呉氏によると、同社は即応チームを立ち上げ、発生頻度の高いエラーに対しマニュアル化された対策案を持ち、通常1日未満で復旧できると話す。

2021年の計画について、呉氏はRFフロントエンドICの販売を強化し、売上高を伸ばすことを優先すると話す。RFトランシーバICについては年内の量産化を目指す。また、事業の拡大に伴い組織の強化にも着手する予定だ。

(翻訳・小六)