3月中旬、共同購入型格安EC「拼多多(Pinduoduo)」が2020年第4四半期(10〜12月)の決算報告を発表した。年間利用者数は7億8800万人となり、アリババの7億7900万人、京東(JD.com)の4億7200万人を超えて中国国内で最も利用者数の多いECプラットフォームとなった。なお決算報告発表の際、創業者の黄崢(Colin Huang)氏が董事長を辞任すること、現CEOの陳磊氏が兼任というかたちでその後を継ぐことが発表された。

アリババ創業者のジャック・マー氏(56歳)、京東創業者の劉強東氏(48歳)に次いで41歳の黄崢氏も引退することとなり、中国三大ECの創業者がそろって一線を退いたことになる。その後継者である陳磊氏(拼多多CEO)、蒋凡氏(アリババ傘下ECモール「天猫(Tmall)」「淘宝(タオバオ)」総裁)、徐雷氏(京東小売部門CEO)が率いる三大ECの勢力図は今後10年でどう変化していくのだろうか。

陳磊氏、蒋凡氏、徐雷氏

拼多多:道のりはまだ厳しい

CTO(最高技術責任者)だった陳磊氏が黄崢氏から拼多多CEOの座を引き継いだのは昨年7月のことだった。そこから半年余りで董事長へと昇格した同氏は黄崢氏と同様に目立つことを好まず、CEOに就任するまで2人が13年にわたる創業パートナーだということはほとんど知られていなかった。

時は遡ること1996年。4人の高校生が中国代表として国際情報オリンピックに参加し、金メダルを獲得した。そのうちの1人が陳磊氏で、メンバーにはインターネット検索大手「捜狗(Sogou)」の王小川CEOもいた。2015年、黄崢氏が果物のソーシャルコマースプラットフォーム「拼好貨(Pinhaohuo)」と拼多多を相次いでリリース。陳磊氏は拼好貨の技術責任者を務めていた。1年後、拼多多と拼好貨は合併し、陳磊氏は拼多多の共同創業者兼CTOとなった。

アルゴリズムを設計した本人以上にアルゴリズムを理解している人はいないだろう。陳磊氏は分散型AI技術の開発を主導した。拼多多設立にあたって、同氏は拼多多をモバイル体験に特化したプラットフォームとして設計している。のちに「農産物オンライン共同購入」モデルを立ち上げ、中国に9億人いる農村人口が市場としての存在感を際立たせるきっかけとなった。

拼多多の決算報告によると、第4四半期の営業費用は170億6940万元(約2880億円)、そのうち、販売・マーケティング費用は前年同期比59%増の147億1300万元(約2480億円)となっている。主に広告、販売促進、割引券の費用が増加したことが原因だが、前年同期には92億7300万元(約1560億円)だったことから、拼多多はなおもユーザー獲得のために資金をつぎ込んでいることが見て取れる。

拼多多の決算報告から作成

これまで長い間地方市場を開拓してきた拼多多が、ハイエンド市場を開拓しようと試みている。しかしライバルのアリババと京東は同市場では拼多多より10数年のアドバンテージを持っているうえ、高級ブランドの場合、割引券に頼るだけではユーザーの消費習慣を形成することはできない。

ECにおける3本柱といえばプラットフォーム・物流・決済だ。アリババは天猫、決済サービス「アリペイ(支付宝)」を擁しており、傘下の物流プラットフォーム「菜鳥網絡 (CAINIAO)」を通じて大手物流会社「三通一達(中通、申通、圓通、韵達の4社)」とも協業している。京東も「京東物流(JD Logistics)」と金融サービス企業「京東数科(JD Digits)」を傘下に有する。拼多多はインドネシアの宅配最大手「J&T Express(極兔快逓)」との提携を進めているものの、物流と決済に関してはプラットフォーム本体の成長スピードに追いついていない。昨年10月、陳磊CEOは拼多多の発送する荷物が1日平均7000万件を超え、全国の三分の一を占めていると明かした。しかし物流インフラに関しては、アリババ・京東と比べると拼多多はまだ初期段階にある。

決済サービスに関しては、拼多多は昨年1月「上海付費通信息服務(Shanghai FuFeiTong Information Service)」の株式を50.01%を取得して筆頭株主となり、決済営業許可を取得している。同年10月には決済サービス「多多銭包(Duoduo Wallet)」をリリースし、旧正月大みそかの特番「春節聯歓晩会」で行われる紅包(お年玉)企画と提携して同サービスを大々的に打ち出す予定だったが、従業員の過労死が問題となり直前で降板を余儀なくされた。

ユーザーの定着率とリピート率を上げ、物流と決済というインフラを整備し「安かろう、悪かろう」というイメージから脱却してハイエンド市場を開拓すること、これが陳磊氏の率いる拼多多が直面すべき課題となるだろう。

黄崢氏が今回株主に宛てた手紙にはこう記されている「拼多多はまだ若く、この先も雪が厚く積もった坂道を進んでいく必要がある。しかし10年後の成功を思うなら今の努力は無駄とはならないはずだ」

後編:淘宝、天猫:新しい集客チャネルを開拓&京東:地方市場とライブコマース
(翻訳・山口幸子)