中国教育業界では2021年上半期に計133件の資金調達が行われた。非公開のものを除けば、調達額は総額145億3580万元(約2460億円)だった。20年上半期の113件よりも20件増、伸び率にして約15%増となった。

ただ資金調達件数は増加したものの、調達額は前年同期比で17.68%減となったことだ。政策の先行き不安もあり、投資家もやや保守的に構え大口の投資を控えた。業界全体としては小口で複数の投資先に投資する状態となっている。
21年上半期の教育業界の投資データを整理し、教育業界の動向を分析してみたい。

企業サービスが群を抜いての稼ぎ頭

21年上半期の教育業界のサブカテゴリーでは、企業サービスの資金調達件数が全体の27.81%を占める37件でトップとなった。直近3年で企業サービスが首位に立つのは初めてだ。

教育業界への直接投資は多くの制限がある。教育分野に特化した投資機関の多くがリスク回避のために、投資対象を企業サービスにシフトしていると思われる。

企業サービスというこの「ダークホース」のほかに、人間性の形成に重点を置く素養教育分野が資金調達31件で2位につけた。職業教育は3件差で3位となった。これまで業績が好調だった幼稚園から高校までの「K12」分野はやや低迷した。幼児向けや低学年向け科目はどうしても制限があり、上半期の資金調達件数は7件にとどまった。

調達金額から見れば、上述の3分野はほぼ互角である。3分野の調達額は116億元(約1970億円)で上半期調達額全体の80%を占めている。なかでも、企業サービス分野は39億5400万元(約670億円)でトップとなり、次いで素養教育分野が38億6000万元(約650億円)、職業教育分野が37億8600万元(約640億円)と続いた。

このほか、幼児教育分野の調達額も11億8100万元(約200億円)と10億元(約170億円)の大台に乗り、全体の約8.12%を占めた。語学教育分野は9億3200万元(約160億円)で、5位となった。

K12教育分野は全体的に失速

仮に10億元(約170億円)を大口投資の分岐点とした場合、21年上半期にはいわゆる大口投資はほとんど見られない状態だった。

20年と異なるのは、K12分野が全体として失速している点だ。20年同時期には、K12分野で「猿輔導(Yuanfudao)」を手がける「猿力教育科技(Yuanli Education Science and Technology)」がシリーズGで10億ドル(約1100億円)、「作業幇(Zuoyebang)」がシリーズEで7億5000万ドル(約820億円)の調達を行うなど、ユニコーン企業2社が相次いで大規模な資金調達を行っている。

一方、21年はさまざまな影響を受け、K12分野でこのユニコーン企業に大きな動きはは見られない。同市場の調達総額はわずか3億元(約510億円)に満たないレベルだ。K12が振るわなかった21年上半期、最大規模の資金調達を行ったのは職業教育分野である。「北京粉筆藍天科技(Fenbi)」傘下の「粉筆教育」はシリーズAで3億9000万ドル(約430億円)を調達した。また素養教育分野においては子供向けにプログラミング教室を展開する「核桃編程(Hetao101)」が2億ドル(約220億円)を調達している。21年上半期の調達額は低いとは言えないが、20年と比べるとやはり見劣りする。

テンセントの出資回数が最多

この133件の投資のうち2回以上出資を行ったのは、テンセントの投資機関「騰訊投資(Tencent Investment)」「新東方教育科技(New Oriental Education & Technology)」「IDC資本(IDC Capital)」「高瓴創投(GL Ventures)」「啓明創投(Qiming Venture Partners)」「摯信資本(Trustbridge Partners)」「華興新経済基金(Huaxing Growth Capital)」「紅杉資本中国(セコイア・キャピタル・チャイナ)」「源碼資本(Source Code Capital)」「高榕資本(Gaorong Capital)」「達晨財智(Fortune Capital)」「弘毅投資(Hony Capital)」「険峰長青(K2VC)」「Prospect Avenue Capital(PAC)」の14機関だ。

そのうち最も投資回数が多かったのがテンセントで、異なる教育市場に戦略投資5件、シリーズCで2件、株式投資、シリーズE、シリーズE+が各1件、計10回の投資を行っている。

※注:慣例に従い非公開の資金調達は統計に含まず。金額は中間値定理により試算した。

作者:黑板洞察(ID:heibandongcha)、作者:王瑋

(翻訳:lumu)