中国で1日6億人以上が利用するショート動画アプリ「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」の運営元バイトダンス(字節跳動)が次の一手を繰り出してきた。このほど教育分野に歩を進め、子ども向けのショート動画アプリ「小趣星(Xiaoquxing)」をリリース、子どもが楽しみながら知識を増やし、視野を広げられるよう助ける。

中国で「宿題」と「学習塾」の2つを減らす「双減政策」が実施されたことで、オンライン教育企業は程度の差こそあれ影響を被ってきた。各社ともにリストラや事業転換などが目下の重要検討事項となっている。バイトダンス傘下の「大力教育(Dali Education)」も事業転換の突破口を探っており、新たにリリースした小趣星が現状打開に向けた秘密兵器となるかが注目される。

キッズ版「抖音」

小趣星は電話番号を使ってユーザー登録する必要があり、登録が完了するとプロフィール画像や性別、生年月日などのユーザー情報の設定画面に移行する。一度選択した性別は変更できず、設定できる年齢も21歳までとなっている。これは性別や年齢に合わせたコンテンツを提供し、より楽しく学んでもらえるようにするためだ。

初期設定が終わるとアプリのトップページが現れる。ショート動画コンテンツが表示されており、抖音アプリと同様に上下スワイプして好きな動画を見ることができる。ただし、シェアやコメントの機能はなく、「いいね」を押したり、「興味ない」ボタンを押して同じカテゴリの動画を減らしたりすることしかできない。

別の重要な機能は「見つける(発現)」だ。これは文学・科学、絵本、童謡、注目情報など34のカテゴリに及ぶ動画を集めたプラットフォームで、面白く有益なコンテンツを通して子どもの視野を広げ、世界への興味を抱かせる狙いがある。視聴したコンテンツは「最近見た動画」の中に表示され、続きを見やすいようにどこまで視聴したかが分かるようになっている。

子どもの視聴体験を向上させるため、小趣星にはスマート音声検索の機能が追加されている。これにより優れたコンテンツをスピーディーに検索できるほか、動画を探す上で参考にできるよう人気検索ワードのランキングも設けている。

小趣星のマイページにはお気に入りのコンテンツと定期購読コンテンツの情報が載せられている。1日の動画視聴時間は15分、30分、40分の3種類から選べるようになっており、初期設定では週末が40分まで、平日が30分までに制限されている。このほかブルーライトの一部をカットして目を守る視力保護モードも付帯している。

知識系の動画が急速に勢力を伸ばしているこの数年に、テンセントやビリビリ動画、愛奇芸(iQiyi)、快手(Kuaishou)などの動画プラットフォーム、さらにはQ&Aサイトの知乎(Zhihu)までもがこの分野への参入を宣言してきた。

これまで大量の資金が投じられてきたK12(幼稚園から高校まで)教育事業や教育用デバイス開発に比べると、教育系動画の運営コストは低く抑えられる。小趣星のコンテンツは抖音から引き入れるため、コンテンツ導入のコストはほぼゼロに等しい。しかも教育・知識系動画は次第に青少年からも好まれるようになっている。小趣星のリリースは、事業転換を迫られている大力教育の行き詰まりを打破するきっかけになるかもしれない。
(翻訳・畠中裕子)