スマートフォンのカメラで目を撮影するだけで、新型コロナウイルスに感染しているかが即座に分かる―。こんな技術が中国で誕生した。

復旦大学ビッグデータ学院や国内外の研究機関が共同開発した、新型コロナウイルス感染リスク検査技術「COVID-19 EYE TEST」だ。

左:チーフサイエンティスト付彦偉氏、右:チーフデータエンジニア孫強氏

目を見て診断、その精度は?

「目を見て病気を診断する」という概念は東洋医学にも西洋医学にも古くから存在する。西洋医学には眼表面の微小循環理論があり、現在はAIによる眼表面や眼底網膜の医療画像診断技術が進歩を遂げている。

こうしたことからヒントを得て、復旦大学ビッグデータ学院、同学院の知覚実験室、複数の国際チームが協力して、機械学習や臨床医学、ビジネスの専門チームを立ち上げ、地域や人種を越えた新型コロナ眼部検査の臨床実験に着手した。2020年2月に「AIMOMICS EYE TEST PROGRAM」(以下「EYE TEST」と表記)の名で始動したこのプロジェクトは、眼部撮影による新型コロナウイルス感染リスクのリモート検査をベースに、重点的な研究と事業化を進めている。

プロジェクトのチーフデータエンジニアの孫強博士は「本検査に関連した論文を発表し、地域や人種をまたぐ優れた検査結果を出したのは私たちが世界初だろう」と語る。中国やドイツ、米国などでは眼部を通じたの検査技術について報じられるようになっており、一部の企業はビジネス契約の締結も始めているが、孫博士が知る限り学術論文が発表された例はなかったという。

AIMOMICS EYE TEST PROGRAMの活用例

COVID-19 EYE TESTは世界各地の臨床実験で感染者を正しく判定する感度と非感染者の陰性を正しく判定する特異度がいずれも85%以上に上っており、東アジア地域に至っては感度・特異度が最高97%に達している。

「日本でPCR検査を行う企業と協力して新型コロナ感染の補助検査を行ったところ、私たちの検査で高リスクの判定が出た検体は、99%以上がPCR検査で陽性だった」。孫博士の説明によると、検査技術の一部はは東洋人向けの伝統的な診断法を基としているため、他の人種で同程度の精度を実現するにはさらなる臨床試験とパラメータ調整が必要になるという。しかしプロジェクトチームは、全ての困難を乗り越えてきた。

プロジェクトチームは大規模GPUによる高性能演算やコンピュータービジョン、深層学習ツールなどを活用して、地域や人種をまたいだ臨床実験による眼部の病理学的特性と新型コロナウイルス感染検査記録、検査モジュール汎用性のエビデンスを世界で初めて発表した。これに関する学術論文『Report on China-Spain Joint Clinical Testing for Rapid COVID-19 Risk Screening by Eye-region Manifestations』はプレプリントサーバー「arXiv(アーカイヴ)」に投稿されている。

現在、EYE TESTのチームはすでに眼部検査の開発プラットフォームを構築しており、今後はカメラ機能を備えたスマートデバイスや関連ソフト企業に対して、さまざまなタイプの疾病を検査するAPIやSDKサービスを提供していく。

新型コロナウイルス検査の無料デモ版と非営利目的の無料APIは中国本土内に限り永年無料で提供され、データの取り扱いや安全性に関する法規に沿って運用される。

実際の操作方法は非常に簡単で、個人情報を登録するも必要ない。テスト版にアクセスして「クイック検査」をタップし、そのまま眼部を撮影するかスマホ内から写真を選択して枠に合わせると、わずか3秒で結果が分かる。

ただ、この検査ツールは医療機関の標準的な診断を受ける上での補助的なリスク評価に過ぎず、医師の診察や正式な検査に代替するものではない。

作者:智東西(WeChat ID:zhidxcom)、心縁、編集:漠影
(翻訳・畠中裕子)