3Dビジョンのソリューションプロバイダー「遷移科技(Transfer Technology)」が、シリーズAで数百万ドル(数億円)を調達した。「微光創投(Welight Capital)」が出資を主導し、既存株主の「零一創投(01VC)」も出資に参加した。遷移科技は2019年にエンジェルラウンド、21年にプレシリーズAを実施している。

製造業でスマート化が進む中、マシンビジョンは精度、スピード、適応性などの性能が優れているため、自動化設備やハイエンド製造業で広く使われている。中国の調査機関「高工産業研究院(GGII)」の予測によると、中国のマシンビジョン市場は20〜23年に年平均25.46%前後で成長し、市場規模は23年までに156億元(約3100億円)に達する。3Dビジョンは産業ロボットの目と脳であり、数百億元(数千億円)規模の市場に成長すると見込まれる。

遷移科技は産業ロボットに照準を合わせている。樊鈺CEOは「当社の強みは主に4つだ。一つ目は自社開発の3Dカメラを使用しハードウエアとソフトウェアを編集するため、産業分野の複雑なシーンにもソリューションを適用できる。二つ目にコアメンバーが15年から3Dビジョンロボットの研究を行っており、一部の3Dビジョンアルゴリズムのスピードと正確性は、世界的に有名な産業向け画像処理ソフト「Halcon」をしのぐ。三つ目はハードウエアとソフトウェアを一体化させたプラットフォームはすぐに導入できるので、効率的な規模拡大が可能だ。例えば製品の取り付け後キーを押せばカメラとロボットがつながり、2時間以内に準備が終了する。初めての人も20分で使用方法を習得できるため、システムインテグレータや現場労働者の学習コストと使用のハードルの大幅な低下につながる。四つ目に当社の主な製品とソリューションは標準化され、規模拡大を実現している」と述べた。

遷移科技が自社開発したEpic Eyeカメラは単眼、双眼、視野範囲によってEpic Eye D-L、Epic Eye S-M、Epic Eye S-S、Epic Eye Xの4つに分けられている。同シリーズのカメラは構造化光による画像形成原理を採用し、大きさの異なる物体を3Dで再構築する。視野の範囲は0.3〜3.5メートル、z軸の精度は0.005〜0.5ミリで、測定、検査、測位などさまざまなシーンで活用できる。樊CEOは、同社のカメラは極寒、高濃度粉塵、高爆発性など劣悪な環境でも安定して質の高い画像を生成すると説明した。

遷移科技のEpicソフトウェアプラットフォームは現在2つのシーンに対応する。Epic Pickingソフトウェア[ビンピッキング(ランダムに置かれた中から適切なものを取る)、ロボットが障害物を避ける機能を含む]とEpic Handlingソフトウェア(ややランダムに置かれた中から適切なものを取る、ロボットが障害物を避ける機能は含まない)だ。このプラットフォームは産業用メーカーであるスイスのABBグループ 、独クーカ、ファナック、安川電機のほか、エプソン、「珞石機器人(ROKAE)」など中国や海外の多くのブランドに導入されている。

自社開発の3DカメラとEpicビジョンアルゴリズムソフトウェアを組み合わせた遷移科技のソリューションは、自動車部品、金属機械加工、家電、倉庫・物流、食品、医薬、化学工業などの業界で導入されている。現在はピッキングや荷下ろしなどのシーンに特化しているが、今後はグルーイング(接着)、アセンブリー(組み立て)などにも拡大する予定だ。

遷移科技は、世界のトップ500にランク入りする多くの企業を顧客に抱える。コスト削減効果について世界の家電大手企業を例に取ると、遷移科技のプロダクトを導入後半年でコストを回収し、生産効率は約50%上昇したという。

(翻訳・36Kr Japan編集部)