低速自動運転小型ロボット「優時小車」を開発した「優時科技(Yours Technologies)」がシリーズA+で数千万元(数億円)を調達した。リードインベスターは家電大手のハイアールグループと中国金茂(China Jinmao)。同社は2018年にシードラウンド、2019年にエンジェルラウンドで、さらに2020年12月にもシリーズAで資金調達している。

優時科技は2018年3月設立、コストや必要スペックを抑えた低エネルギー消費の6輪低速自動運転ロボットを開発した。創業者である林錇森CEOによると、低速自動運転のコアとなる技術は、自社開発したコンピュータビジョンとステレオカメラによって実現した三次元地図データ作成と、自己位置推定機能だ。現在広く採用されている16レイヤーのLiDARに比べ大幅にコストを削減、どのような光の環境下でも物体の三次元輪郭の特徴を抽出し、地図には重要な部分だけが残るようになっている。

6輪の構造は宇宙探査用の無人ロボットの構造を参考に、安定性と障害物を乗り越える能力を向上させている。安定性が増し、周囲の環境に干渉されることがないため、ルートを逸脱したり、位置を把握できなくなることもない。斜面の上り下りや、10センチほどの段差も越えることができるので利用シーンが増え、屋内屋外を問わずに使用でき、ラストワンマイル問題のソリューションにもなる。

導入するユーザーに対してSaaSでのサービスも提供する。バックエンドでロボットや商品の管理状況、広告掲載やクーポンの発券、売り上げなどを確認できる。また、当初より人が多い場面で使用することを想定しており、三次元地図データ作成と自己位置推定機能が優位性を発揮する。不動産業者と提携して優先的に商業施設で導入されているため、競合相手の参入は難しい。

また優時小車だけでマーケティングが完結する。商品を積んで人が集まる場所に行けば、客はQRコードをスキャンして積まれている商品を購入し、クーポン配布など優待サービスも受けられる。冷蔵機能があり、電子広告のディスプレイも複数備えている。ロボットのほうから客を探しに行くことで、どのように集客するかという小売店を悩ませる問題を解決する。

2022年6月には、万達集団(ワンダ・グループ)、融創中国(Sunac)といった大規模商業施設を運営する不動産業者と数千台の契約を締結した。そのほかティードリンク「THE ALLEY(鹿角巷)」「happylemon(快楽檸檬)」や「渡娘火鍋(DuNiang Hotpot)」など多くのチェーン店と提携するなど、協力する実店舗は多様化している。

林CEOは自動運転レベル4の実現には課題が3つあると指摘する。コストが高いこと、車体が大きすぎること、コスト負担割合が明確でないことだ。優時小車はコストを下げ小型化し、費用負担は導入する店舗側ということを明確にしたことが同社の競争力だとする。

優時科技は現在多くの技術とデータを蓄積しており、商業施設の周囲3キロ範囲でサービスを提供している。今回の資金調達で導入シーンをさらに拡大する計画だ。

(翻訳:36Kr Japan編集部)