産業用ハンドリングロボットを製造する「海豚之星(AiTEN)」がこのほど、プレシリーズAで梧桐樹資本(Wutongshu Capital)から数千万元(数億円)を調達した。調達資金は研究開発やマーケティング、生産ライン建設に充てられる。

海豚之星は搬送、倉庫、配送、清掃向けの製品を提供している。主力製品は最大積載量が2トンの「M」シリーズと同5トンの「A」シリーズだ。

産業用ハンドリングロボットは近年注目を集め、大規模な資金調達が相次いでいる。資本の流入とコロナ禍に伴い、中国の製造業では世界の生産能力拡充のニーズに応えるため、自動走行ハンドリングロボットが生産物流や倉庫に導入されている。この分野の中国企業は通信、管理、センシング、SLAM(自己位置推定と環境地図作成)アルゴリズムなどソフトウェアへの投資に力を入れており、関連する基盤技術のほとんどは、ロボットのハードウェア・ソフトウェア開発企業「Willow Garage」が2010年に公開したオープンソースのロボット用オペレーティングシステム「ROS」をベースとしている。ソフトウェアをめぐる競争が同質化していく中、モバイルロボット企業と投資家は性能や極限状態での信頼性などに注目し始めた。

海豚之星はこの点で豊富な蓄積がある。例えば、人気製品の低全高パレットハンドリングロボット「MP」は類似製品よりも横幅が短く、幅1.5メートルの狭い通路を走行可能で、通路幅が1.8メートルあれば角を曲がることができる。これまでリフトアップ式無人搬送車(AGV)しか通れなかった通路をハンドリングロボットでそのまま走行できる上、より重い貨物を運べるようになった。

使用例

倉庫物流は構内と構外に分けられる。海豚之星創業者の姚海進CEOは「従来の無人フォークリフトは狭い通路を走行できないため構外で使われることが多かったが、MPはこの問題を解決し、構内に入ることに成功した」と話す。同社は駆動機構と昇降機構を土台部分に組み込むことで、小型化を図りながら動きの制御と昇降のバランスという問題を解決した。

同社は構内物流向け製品の普及を優先的に進めようとしている。MPをベースに開発したエコノミータイプの製品は、インターネットに未接続でも本体に地図と経路が記憶されているため、搭載されたタブレットの簡単な操作によって地点間の搬送ができるという。

姚CEOによると、同社は軽量・小型ハンドリングロボットのサプライヤーとして、製品の使いやすさを追求しているという。まずは無人化のニーズが高いフォークリフト市場に製品を普及させ、それから徐々にシステムインテグレーションへ移行していく方針だ。顧客のさまざまなニーズに応えようと雑多な製品ラインを用意している一部のモバイルロボット企業とは異なり、同社は顧客にニーズを単純化するよう提案し、製品の種類を抑えている。

同社は現在、50以上の業界にわたる100社以上の顧客に産業用ハンドリングロボットを提供している。Mシリーズの顧客には電機メーカーのシーメンス、電力技術企業のカミンズ、水栓メーカーのモーエン、家電大手の美的(Midea)などを抱えている。倉庫向けのAシリーズの顧客には物流システムやスマートマニュファクチュアリングのインテグレーターがいる。また日本、韓国、東南アジア、欧州にも進出している。

姚CEOは産業用電動車両の設計と生産に20年間携わり、10件の発明特許と40件以上の実用新案を取得している。
(翻訳・大谷晶洋)