AIによるスマートガーデニングソリューションを手掛ける「河森堡機器人(Heisenberg Robotics)」がエンジェルラウンドで数百万ドル(数億円)を調達した。出資はDCMベンチャーズが主導し、将門創投(Jiangmen)も参加。調達資金は、AI画像認識アルゴリズムなどコア技術の開発を強化し、ガーデニング用次世代スマートロボットを発売するために使われる。

河森堡機器人は2022年初めに広東省深圳市で設立され、ガーデニング用の製品を欧米市場に向けて展開している。同社の製品は芝刈りの他に、取り外し式のパーツを使ってリーフブロー、清掃、散水などもできる。

世界のロボット芝刈り機の出荷台数は年間約90万台、金額にして10億ドル(約1350億円)に上り、普及率は4%に満たない中、芝刈り機市場には600〜700億ドル(約8兆1000億〜9兆4500億円)規模の比較的大きなストックと買い換えの余地があるという。また、ここ数年のAIアルゴリズムやチップ性能の進歩と技術蓄積もあり、ロボット芝刈り機はロボット掃除機に続く人気商品になると期待されている。

同社は自動運転技術の開発経験がある社員を抱え、全方位画像認識技術を採用している。36Krは同社のスマートロボット芝刈り機に2つの単眼カメラが搭載されていることに注目した。創業者の伍興雲CEOによると、「RTK(リアルタイム・キネマティック)」測位をベースとする従来の技術は屋外の遮蔽物や不安定な信号などに影響され、庭全体の正確な測位が難しかった。加えてRTKの技術では庭の多元的なデータ特性の識別と判断ができないため、従来のロボット芝刈り機はリアルタイムで地図作成と経路計画ができず、障害物との衝突を回避するのみで、スマート化の程度が限られていた。

同社は画像認識センサーシステムの「HPS(Heisenberg Pilot System)」やアルゴリズムとハードウェアの開発を通じて、配線とリモコン操作が不要で、自動経路計画や障害物回避などが可能な高度にスマート化された製品をユーザーに提供する。そのロボット芝刈り機は自動運転レベル3の画像認識性能を有するという。

同社の製品は屋外の芝生で使われることが多く、全方位画像認識技術にはより多元的なデータ特性や複雑な使用環境への対応が求められる。そのため、同社は製品設計の段階から自動運転の論理に基づいて「データ駆動型」のエンジニアリングとアルゴリズムのフレームワークを作り、PB(ペタバイト)級のデータ保存や機械学習の動的調整などの課題を解決することでデータの閉ループプロセスを確立した。

これは電気自動車(EV)のテスラ(Tesla)と同じ典型的な「アルゴリズム+データ」をベースとする消費者向け技術の論理だ。河森堡機器人がこれまで蓄積したデータは1PB近くあり、今後も急速に増えていくだろう。また、同社のロボット芝刈り機は既存技術を採用する製品に比べ、より良いユーザー体験を提供しながらコストを数倍下げることができる。

河森堡机器人はクラウドファンディングを通じて初期のユーザーを増やす方針だ。伍CEOは同社の技術的な特徴を踏まえ、ロボット芝刈り機の出荷台数が増えればデータの収集量が増え、製品力が上がることでユーザー体験も向上すると説明した。将来的には、スマートガーデニング分野でロボットのハードウェア製品に加え、関連サービスの提供も計画しているという。

伍CEOは以前、自動運転レベル4の技術を開発した「馭勢科技(UISEE)」に勤務し、画像認識アルゴリズムやプロダクトの研究開発に携わった。他の中心メンバーは馭勢科技、スマートフォンの小米(シャオミ)、建設機械の三一重工、通信機器の中興通訊(ZTE)や華為技術(ファーウェイ)などテック企業の出身者で、研究開発担当は全社員の9割を占めている。
(翻訳・大谷晶洋)