WeChatPay、アリペイなどが中国市場を独占している現状とは違い、日本のモバイル決済はまだ発展途上の段階にあり、決済代行各社が十分に競争できる環境が整っている。

36Krは先日、日本の集合決済アクワイアラーである「FreePay」を取材した。同社は2017に正式に業務を開始、訪日中国観光客が爆発的増加の傾向にあることから、ターゲットを彼らに絞り、日本の事業者に集合決済を提供する業務を開始した。

FreePayの創業者兼CEOの仇志強氏は36Krに対し、「日本市場は年5兆円規模だ」と述べる。

2018年の中国本土からの訪日者数は838万人、2019年の中国本土からの訪日者数は959万4300人、また中国本土・香港・マカオ・台湾を合わせた訪日者数は1677万5600人であり、訪日者数の52.6%を占めている。その伸び率は前年比14.5%で、7年連続で最多人数を更新している。2019年、訪日観光客による消費額は中国本土客だけで1兆7718億円に上っており、一人当たり21万3000円となる。

集合決済は銀行やその他の金融機関による複数の決済サービスを一つに集結し、事業者に提供するサービスである。例として、FreePayの提供する一本化されたQRコードを導入すれば、日本の事業者は個別に各決済会社(例:アリペイ・WeChatPay・日本の各決済サービス)と取引する必要がなく、FreePay一社と取引するだけで支払が完了する。

同社のサービスは決済会社と事業者の架け橋となり、双方に貢献している。現在、FreePayは中国三大モバイル決済以外にも、PayPay、楽天Pay、LINE Payなどの日本の決済サービスも取り扱っている。海外の決済サービスでは主に韓国、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、シンガポール、台湾など世界30カ国・地域のモバイル決済を導入しており、日本事業者のグローバルなニーズに対応している。

事業者側は、支払の全プロセスをカバーするワンストップの集合決済SaaSが提供される。現在FreePayは2000以上の事業者(チェーン店を除く)にサービスを提供しており、主に大型飲食店、星付きホテル、教育機関および学校、大型商店街、医療・健診機関、ブランド直営店、国際旅行会社、日本語学校などが導入している。

仇CEOは「日本で有名な浅草などの夏祭り、開催予定だった『2020アニメジャパン』などの大型イベントで、FreePayはサービス提供企業に指定され、また2021年に延期が予定される東京オリンピックを見据えてモバイル決済や免税手続き電子化サービスの推進に注力する」と述べた。

集合決済を日本で普及させるには、日本のビジネス資源や運営能力だけでなく、日本のビジネスでは不可欠の信用力が求められる。現在FreePayは日本のIT大手Unisysをはじめ、九州商工会議所連合会、大手信用調査機関、富士山周辺エリアの大手企業などの戦略パートナーとなり、彼らによって多くのリソースがもたらされている。

免税販売手続電子化システムで国税庁と全面連携

海外で買い物をする際に行う免税手続きは、ほぼ誰もが経験する手間のかかるプロセスだった。日本での免税手続きは買い物をした当日に所定のカウンターで行わなければいけない。従来、百貨店やショッピングモールで買い物をした場合は免税カウンターに行き、商品、レシート、パスポートなどを提示し、法規に則って手続きをする必要があった。カウンターに行列ができれば早くて30分、ピーク期には1〜2時間待たされることもある。しかし少しの時間も惜しい多くの観光客には、10%の消費税免税を諦めざるを得ない状況もしばしば見られる。

FreePayは正式に日本政府公認の免税販売手続電子化ライセンスを取得、集合決済と電子免税を集結させ、免税手続きのプロセスを大幅に改善することに成功した。

中国では決済業界は最重要インフラとして整備されており、海外にも広く進出している。決済業務周辺の各サービスも同様だ。例として、アリペイ、WeChatPayはともに観光地向けの免税用ミニプログラム(ミニアプリ)をローンチし、中国人観光客の免税手続きの効率化を目指している。

しかし、仇CEOは、現行の免税用ミニプログラムでは免税手続きの中の一過程を効率化するに過ぎないと述べている。例として免税手続き時、観光客の情報をミニプログラム運営会社に提供するためにQRコードをスキャンして登録し(事業者で登録済みの情報を再度登録する)、免税金額は電子マネーで顧客のアカウントに返却される。顧客情報が提出された後の政府間および事業者間のやり取りのプロセスは従来と変わりなく、効率が向上するのは一部のプロセスのみだ。しかしFreePayは上記のソリューションと下記の点で異なる:

• FreePayのシステムは国税庁のシステムと直接連携している。消費者の支払い時、システムは支払情報・免税情報をリアルタイムで国税庁のシステムに送信、消費者は免税後の金額で決済できるため、免税手続き後の返金プロセスがそもそも存在しない。

また仇氏はこれに補足して、「小型店では1〜2人の免税手続き担当者、大型商業施設では6〜7人の免税手続き担当者が駐在している。FreePayのソリューションはここにかかる人件費を30〜50%削減でき、また月に一度の帳簿確認をわずか数分にで終えられるようになる。FreePayのプラットフォーム上では、消費者は身分情報登録を1回行えばその後すべての買い物で再度登録する必要がなくなり、結果的に免税手続きの時間は80%以上節約できる。

• 免税手続き業務以外にもFreePayは各業界に対しカスタマイズソリューションを提供。決済をスタート地点とし、各クライアントの業務上での需要に応えている。教育業界を例にとると、FreePayは日本の学校法人に対して決済だけでなく、事務や人員管理関連のシステム需要にも対応している。現在、医療、教育、百貨店、交通、旅行、免税店、EC、越境医療などの業界に対して最適化したカスタマイズソリューションを提供している。

FreePayは二重の強みを確立している。日本市場参入はハードルが高く、市場が特殊なため、これまでに蓄積した信用と豊富な現地資源が圧倒的なアドバンテージとなっていることが一つ。さらに、FreePayが独自で開発した「電子免税+集合決済」のビジネス様式がアドバンテージをさらに強固なものにしている。サービスは現在、東京・大阪地区をカバーしており、昨年度の売上高は数十億円に上る。

今後の計画について、仇氏は以下のように語っている。日本初の国税庁免税販売手続電子化ライセンスを取得し、国税庁のシステムと直結する集合決済サービス企業として、FreePayはほぼ0コストで年間900万人に迫る訪日中国人観光客をはじめ、各国からの観光客を自社のプラットフォームに誘導・蓄積できる。また、FreePayを導入する日本事業者は潜在的なサプライヤーおよびパートナーとなる。今年、FreePayは決済+免税の両輪のサービスを日本各地に広め、迅速に市場を開拓するだけでなく、商品と内部体制の向上に力をさらに注いでいく方針だ。

仇CEOは豪シドニー・ビジネス・スクールでダブル修士を取得、IT業界に12年間従事し、IBMでアドバンスドエンジニアを経験。豪コモンウェルス銀行で情報暗号化プロジェクトの責任者も担当した。創業者兼COOの斉氷氏は10年以上のITプロジェクトマネジメントおよび運営の経験を有する。FreePayに前回出資した王湛氏は百度(バイドゥ)の元副総裁で初代プロダクトマネジャー(「百度プロモーションの第一人者」)を務めた人物だ。また日本の株主もFreePayの急拡大に向け多くの資源を提供し注力している。現在、新たな資金調達計画も始動予定だ。

(翻訳・編集:愛玉)