9月27日、第4回信息安全産業発展フォーラムに出席した中国工程院アカデミー会員の倪光南氏は、米半導体大手「NVIDIA」による半導体設計の英「Arm」買収について、中国商務部は否決する可能性があるとの見方を示した。

倪氏は「今、NVIDIAがArmの買収に動いているが、この買収が成功すれば我が国にとって非常に不利になるため、私は中国商務部が否決するものと信じている。買収が成立するかはまだ分からない」と語った。

9月14日、NVIDIAはソフトバンクからArmを400億ドル(約4兆2000億円)で買収することを発表。Armが一定の業績目標を達成すれば、協議に基づきソフトバンク側に最大50億ドル(約5300億円)の現金もしくは株式を支払うほか、15億ドル(約1500億円)相当のNVIDIA株式がArm従業員に対して付与されるという。

買収のニュースは瞬く間に世界の注目を集めた。もしこの買収が成立すれば、Armを配下に引き入れたNVIDIAが半導体業界における影響力を増し加えるのは必至で、半導体分野における勢力図が書き換えられる可能性がある。

しかし、半導体業界で史上最大規模と言われる今回の取引も一筋縄ではいかないようだ。この買収が計画通り進むかどうかに関して、市場は一貫して懐疑的な姿勢を保っている。

Armの共同創業者のHermann Hauser氏は、 同買収が業界にとって大惨事であり阻止するべきだと、公に懸念を表明している。

しかもこの買収は、英国、中国、EU、米国を含む規制当局の承認を得る必要があり、その行方次第では買収計画に大きな狂いが生じる可能性もある。

中国の独占禁止法や関連する規定では、事業者集中(企業結合)に関して次のように定めている。

企業結合を行う事業者の世界における前年売上高が100億元(約1500億円)以上、かつ2以上の事業者の中国国内における前年売上高がそれぞれ4億元(約60億円)を超えている場合、もしくは企業結合を行う事業者の中国国内における前年売上高が20億元(約30億円)以上、かつそのうち2以上の事業者の国内における前年売上高がそれぞれ4億元を超えている場合は、中国の独占禁止の規制対象とする。

買収は事業者集中の典型的な例であり、NVIDIAもArmも売上高ではこの申告基準をはるかに超えている。規定に基づき、中国の規制当局が今回の買収計画を審査するのは確実だ。
(翻訳・畠中裕子)