10月4日、テンセントのSNSアプリ「WeChat」のモーメンツ(写真や文章の共有機能)に、ハッシュタグ機能が追加された。ハッシュタグをタップすれば、それに関する各種のコンテンツを検索することができる。

「#十一(10月1日、中国の国慶節)」で検索した場合に表示される結果

今回の変更に関連して、1週間前にWeChatは「よく使うサービス」という機能の内部テストを始めた。公的サービスや企業が提供するサービスをWeChat内で検索した場合、それを「よく使うサービス」に保存するかどうかを選択できるようになるというものだ。保存されたサービスは、マイページの「よく使うサービス」のタブ内に保存され、簡単にアクセスできるようになる。

「よく使うサービス」の検索画面。検索すると、利用したことがある友人が何人いるかも表示される

このことは、単なる機能の追加にとどまらない意味を持つ。WeChatは2019年12月に、従来のWeChat内部のコンテンツ検索機能だった「微信搜索」を、「搜一搜(「探してみる」の意味)」に名称変更し、ウェブ上のすべてのコンテンツを検索できるようにした。今回はそれに加え、1日に100億件もの情報が発信されるモーメンツのトラフィックを、検索機能へと誘導していくことになる。これは、WeChatの背後に広がるエコシステム全体に影響を及ぼす大きな変更である。

シェアに頼る状態からの変化

これまでのWeChatでは、コンテンツはモーメンツやグループチャットでシェアされることで広まっていった。しかし、シェアだけではアクセスされるとは限らないため、やはり限界がある。

それに対し、検索はユーザーが能動的に行う行為である。シェアとは全く異なる行動パターンになるため、WeChatは、検索機能によってユーザーのニーズを把握し、それを企業顧客のサービスとマッチングさせることで、企業の顧客獲得につなげたいのである。これこそが、モーメンツに追加されたハッシュタグ機能と検索機能の最大の狙いである。

WeChatの検索機能のジレンマ

しかし、WeChatのライバルも手をこまねいてはいない。今年8月、アリババ傘下のアリペイが、「汎用の検索エンジンではなく、サービスに特化した検索機能を強化する」と発表した。それ以降、アリペイのアプリ内にすでに400近い有名ブランドが加入し、検索すればすぐにこれらのブランドのサービスや商品にたどり着くことができる。このことにより、アリペイ内のミニプログラムの利用回数は平均で50%も増えた。

アリペイはサービスの検索に特化しているが、WeChatが同様の戦略を採用することは難しい。アリペイのサービス検索と似た機能を持つ「よく使うサービス」は、比較的見つけづらいところにあり、この機能の存在さえ知らないユーザーも多い。それに対し、アリペイのサービス検索はトップページにある。

アリペイは「生活関連サービスのプラットフォーム」としての位置づけを明確に打ち出しており、躊躇なく外部の各社のサービスを導入することができる。それに対し、WeChatはライフスタイルに関わるアプリであり、企業などのサービスを利用する以外に、SNS機能、公式アカウントの記事の配信、動画視聴など重要なパートがある。したがって、アリペイのように生活関連サービスに特化することはできないのだ。

WeChatが検索機能のためにモーメンツのトラフィックを提供したことは、検索機能への重要視の表れだといえる。しかし、検索をめぐる競争では、数年前のモバイル決済における競争と異なり、補助金でユーザーを囲い込むことができない。どの検索エンジンを使うかは、検索機能自体の使いやすさによって決まるのである。

より使いやすい検索エンジンを作ろうと、大手プラットフォームはどこも100人以上のチームで検索エンジンを運営しており、検索機能を支えるエコシステムを作ろうとしている。WeChatも正式に参戦した検索エンジンをめぐる新たな競争は、まだ始まったばかりだ。

(翻訳:小六)