感染症の流行は多くの企業に影響を及ぼす一方、ポジティブな変化ももたらし、特に中高年の消費スタイルを変えた。

中国で都市封鎖が武漢から全国へと広がり、多くの高齢者は自宅に閉じ込められながらネットショッピングを頻繁に利用し始めた。これまでは仮にネットショッピングを覚えても、高齢者は実店舗での買い物を好む傾向があったが、感染症の流行によって他に方法が無くなり、ネットショッピングが唯一の選択肢となった。生活関連サービスの「美団点評(Meituan Dianping)」、アリババ系の生鮮食品スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」、アリババ系のECプラットフォーム「天猫(Tmall)」、EC大手の「京東(JD.com)」などのインターネットプラットフォームでは、中高年ユーザーの利用比率とデイリーアクティブユーザー数(DAU)が大きく伸びたほか、「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」と「快手(Kuaishou、海外版はKwai)」でも人気を集める高齢者関連のショート動画が増えた。

インターネットを使わず実店舗に慣れていた高齢者がインターネットに適応し始めており、これが習慣化されればポストコロナでも続くだろう。

ライブ配信が高齢者へ急速に普及 大手プラットフォームは対応を加速

3月26日にライブ配信について分析したところ、高齢者のライブ配信に対する受容性が極めて高いことが明らかになった。高齢者はテレビと同じ感覚でライブ配信を視聴するが、ライブ配信はテレビのようにチャンネルの制約が無く、より強力なインタラクティブ効果と即時性を有する。アリババ系の決済サービス「支付宝(アリペイ)」、抖音、快手はいずれも中高年向けライブ配信を展開しており、なかでも健康、資産管理、教育、ショッピングのライブ配信が新たなブームとなった。データを見ると、高齢者産業のなかでもライブ配信は今後、ビジネスチャンスが最も大きい分野になりそうだ。

中高年が生鮮品ECの成熟を後押し

日本の生鮮業界に関する調査で、日本の小売店には多くの生鮮品が並べられ、種類も豊富なことが分かっている。統計によると、生鮮品は高齢者の消費額が最も大きい品目で、年間約4000億元(約6兆円)近くに上るという。中国ならこの市場は数千億元(数兆円)どころか数兆元(数十兆円)に達するはずだ。

高齢者は食品の安全性や鮮度に対してこだわりが強い。高齢者向け商品を販売する企業やEC事業者にとって、生鮮品はこれまでも大きな割合を占めるカテゴリだった。感染症流行の影響を受けて生鮮品ECの需要が高まり、ユーザー数、利用回数、販売量はいずれも大幅に増え、多くの中高年が生鮮品ECを利用することが業界を「成熟」させる大きな力となりつつある。

オンライン化と中高年のeラーニングがトレンドに

感染症の流行により業界が苦慮していた「高齢者+インターネット」の現状が変わり、オフラインに重点を置いていた企業は急速なオンライン化を迫られた。これまでオフラインサービスに注力し、高齢者大学を展開していた企業は感染症の流行後に相次いでオンライン事業に着手、ライブ配信講座が生み出す効果ともたらす収益がオフラインに引けを取らず、むしろ一部ではこれまでよりも効率がよく、ユーザー獲得も容易だというeラーニングの可能性に気付いた。

2018〜2019年の時点では、多くの機関投資家が高齢者のeラーニングに否定的な見解を示していた。現状を見ると、高齢者は時に若者よりも課金意欲が強く、質の高いライブ配信講座にお金を払おうとする。彼らにとってeラーニングは、勉強であると同時に文化的な交流、気晴らしの娯楽でもあるのだ。
(翻訳・神戸三四郎)