なんと、今年で開催から50周年だそうだ。1969年8月、ニューヨーク州べセルで行われた“ウッドストック・ミュージック&アート・フェア”通称ウッドストック・フェスティバル。この歴史的なフェスで最終日のトリを飾ったのがこれまた紹介するまでもないロック界のレジェンド、ジミ・ヘンドリックスその人だった。本作は当時のメンバーの証言とともに、限られた記録映像を編集した作品の再発版だ。

 トリとは聞こえがいいがしかし、じつは悪天候と進行の遅れにより彼の登場は予定を1日すぎた18日の朝9時ごろだったとか。40万人といわれた観衆もその時には5万人ほどしか残っていなかったという。そんなエピソードも含めて、まさに一口には語れないフェスだったのだろう。フリンジつきのジャケットに身を包んだ彼のパフォーマンスもなんとなく精彩を欠いているように感じたが、大友博氏による同梱の解説によるとこのときのジプシー・サン&レインボウズはロックの頂点に立った彼に肩を並べる著名なミュージシャンたちではなく、気心の知れた仲間、というような構成だったようだ。

 というわけで、DISC1の鮮明で整った映像よりも、この作品の本懐は22歳の青年アルバート・グッドマンが撮影していた映像を融合したDISC2の生々しい雰囲気にあるのではないかと思った。犬を撫でながら傍観する革ジャンの女性の姿や、スピーカーのすぐ裏に座り込んで目をつぶっている青年の様子などが、動画のもつ情報量、記録ということの意味を思い知らせてくれる。

(ソニーミュージック・5000円+税)=玉木美企子