自転車であおり運転すると刑事罰の可能性―。これまで明確な定義のなかったあおり運転を「妨害運転」として初めて規定し、厳罰化する改正道交法と同施行令が今月末に施行される。警察による取り締まりの対象は乗用車など自動車だけだと思いがちだが、法律上「軽車両」に分類される自転車にも当てはまる。いったいどのような運転が摘発の対象になるのだろうか。

 改正道交法は妨害運転を、他の車両の通行を妨害する目的の「一定の違反行為」と定めている。違反行為として車間距離不保持や幅寄せ、急ブレーキなどの10類型を明示。「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」という罰則も設けられた。

 一方、9日に閣議決定された同施行令は、自転車によるあおり運転(妨害運転)を「危険行為」と規定。具体的には以下の7行為を想定している。

 逆走して進路をふさぐ▽幅寄せ▽進路変更▽不必要な急ブレーキ▽ベルをしつこく鳴らす▽車間距離の不保持▽追い越し違反

 これらはいずれも自動車やバイク、他の自転車の通行を妨げる目的で行った場合に摘発対象となり、歩行者らに対する違反は別の規定が適用される。

 自転車による違反は現場の警察官の判断で指導や警告にとどまるケースもあるが、14歳以上は逮捕や書類送検、起訴や裁判を経て懲役刑や罰金など刑事罰を受ける可能性がある。

 ところで、同施行令はこれまでに自転車による「危険行為」として14項目を指定しており、今回の改正であおり運転にあたる「妨害運転」が第15項目となった。その危険行為は以下の通り。

 信号無視▽禁止されている場所の通行▽自転車の通行が認められている歩行者専用道での徐行違反など▽車道の右側通行など通行区分違反▽路側帯の歩行者妨害▽遮断機が下りた踏切への立ち入り▽交差点での左方優先車妨害など▽交差点での直進車妨害など▽環状交差点に入る際の徐行違反など▽一時停止違反▽歩道での歩行者妨害▽ブレーキのない自転車運転▽酒酔い▽スマートフォンを使用しながら事故を起こすなど安全運転義務違反▽他の車両の妨害(あおり運転)

 これらの危険行為をした14歳以上が、3年間に2回摘発されると安全講習を受けなければならない。15年6月から始まった自転車運転者講習制度に基づくもので、受講しない場合は5万円以下の罰金と定められている。

 後を絶たない自転車の事故を防ぐのを狙って導入された同制度。開始から1年間となる16年5月末までの自転車乗車中の死者と自転車関連の事故が、前年比でそれぞれ14・7%、13・1%減少するなど一定の効果をもたらした。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、自転車による通勤や宅配サービスなどは一層の広がりをみせている。街中ですれ違う自転車の数が目に見えて増えるなか、あおり運転を規定した今回の改正は、事故の抑止や交通マナー改善にどれだけの成果をもたらすだろうか。