その夜、時計の針が午前0時を回った時、18歳、19歳の「少年少女」たちは一斉に「大人」になった。ことし4月1日、成人年齢を18歳に引き下げる改正民法が施行された。1876(明治9)年以来140年以上続いた「成人=20歳以上」の定義が変わり、18歳以上が大人とみなされることになったのだ。
 学ぶ人、働いている人、自分の居場所を探している人―。この日、新成人となったのは推計で約200万人に上る。携帯電話や不動産賃借の契約、クレジットカードの作成、ローンを組むなど親の同意がなくても1人でできることが増える一方、責任も増す。あどけなさの残る彼らが描く「成人」像に迫った。(共同通信=鷺澤伊織、仙石高記)

 ▽夢は救急救命士

 横浜市内の大学に通う岩崎初芽(いわさき・はつめ)さん(19)は、6年前の祖母の死をきっかけに患者や家族と向き合う最前線で働きたいと救急救命士を志した。「最初に現場に到着し、医師や看護師が最適な治療ができるよう状況を判断していく仕事。患者はもちろん、戸惑う家族の気持ちにも寄り添える」。
 コロナ禍の折、テレビ越しに救急隊員が過酷な医療現場で奮闘する姿を見ると、将来自分が働く環境を想像し重圧も感じた。しかし、不安よりも一日でも早く加わり、人の役に立ちたいとの思いが勝った。今も気がつけばニュースの映像から、隊員らの動きや適切な処置を見て学ぼうとしている自分がいる。

 専攻する救急医療の授業では現役の救急救命士らから直接指導を受けることができる。「自分の時間と体力を投げ打って救命に当たる先生たちが理想の大人。成人と言われてもぴんとこないが、彼らのような救急救命士が自分のなりたい姿」

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 ▽18歳の航空学生

 戦闘機のパイロットになるため、自衛隊航空学生になった中丸寛太郎(なかまる・かんたろう)さん(18)。生徒の多くが大学を目指す進学校出身だ。

5歳の頃、航空祭で見たブルーインパルスの隊列に心を奪われ、周りが進学を決める中、子どもの頃からの夢を追うことに決めた。「自分を律せる大人になりたい」

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 ▽若くして自活

 「大人と聞くと疲れた顔で通勤電車に揺られている姿を想像する」。埼玉県川越市出身の桑原迅平(くわばら・じんぺい)さん(18)は中学卒業後、実家を出て沖縄県のホテルや建設現場で働いてきた。気ままに海や山で遊ぶ生活が気に入っている。

 不登校だった中学時代、自宅に引きこもりゲームばかりして過ごしているのを見かねた父親に「学校に行かないなら立場は社会人と同じ」と諭された。
 親の援助は受けず、ダイビングのインストラクターになる夢を叶えるために通信制高校に在籍しながら自立を目指した。
 違法アルバイトでないか見極めたり、お金の管理に苦労したりも経験。若くして自活してきたからこそ「18歳から言動に責任を持つことは良いこと」と感じる。
 今年高校を卒業し、4月から念願のインスタラクターとして西表島で働き始めた。「お客さんにとって年齢は関係なく、一人の社会人として接せられる。今まで以上に言葉使いも気をつけるし緊張感がある」

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 法律の改正で、今までよりも若く大人と見なされるようになった彼らが日本社会にどのような変化をもたらすのか、引き続き注目したい。

※写真・記事の内容は4月1日時点のものです。