日本は近年、地球温暖化対策の遅れが国際社会で批判されてきた。菅義偉首相は2020年10月、就任後初の所信表明演説で、2050年に国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにすると宣言した。国連のグテレス事務総長は20年11月25日、共同通信とオンラインで単独会見し、宣言を「極めて重要な施策だ」と高く評価した上で、公約実現に向けた具体的措置を要請。技術力と資金力を持つ日本の「強い指導力」に期待感を示した。(聞き手、共同通信=山口弦二、黒崎正也)

 ―日本政府に求める具体的措置とは何ですか。

  まず、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするとの極めて重要な日本の施策に祝意を表する。日本は世界を指導する役割を引き受けた。菅首相の発表は直ちに影響が出た。韓国が続いたし、米国の次期政権も日本の措置に続くだろう。排出ゼロに向けた世界的同盟を構築するという来年の目標に不可欠な貢献をした。あらゆる国、企業、都市、銀行や金融機関には、排出ゼロへの移行計画を策定してもらいたいし、日本がこのプロセスを主導しているのは非常にうれしい。

 菅首相は既にいくつもの重要なエネルギー政策を発表し、日本はエネルギー政策の見直しを進めている。首相の発表に沿って数々の措置が取られ、日本がより明確な30年度の排出削減目標を提示することを確信している。日本がこの公約を実現するために必要な具体的措置を取ることを楽観視している。

  日本は決定に時間がかかることもあるが、ひとたび決定すれば、確実に履行するために全てが動きだす。気候変動に関する日本の取り組みには何の心配もしていない。(21年11月に)英国のグラスゴーで開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の前に、全ての国は30年の排出削減目標を提示する。日本もCOP26の前に削減目標を提示することを期待し、確信している。

  ―日本は化石燃料に深く依存しています。再生可能エネルギー導入に懐疑的な見方も根強いのですが。

 温暖化対策は、世界的に民間部門が指導的立場を担っており、日本の組織は重要な役割を果たしている。民間部門は(温暖化対策に)強く関与しており、政府に適切な措置を取るよう要請している。それは、化石燃料(産業)への補助金停止など、再生可能エネルギー導入を促すために可能なあらゆる手段を取ることを意味する。

  日本には電気自動車(EV)など将来の交通手段に関し強い指導力を発揮してほしい。持続可能な農業の分野では高い技術を持っているし、セメントや鉄鋼などの産業の脱炭素化プロセスを主導する条件も全て備えている。日本は化石燃料に強く依存する一方、技術面で素晴らしい能力がある。政府や市民社会、産業界、諸都市を動員する能力も優れており(脱炭素社会への)移行に成功すると確信している。世界に影響を及ぼす日本の指導力を頼りにしている。

 (気候変動に起因する)災害のリスク軽減に関しても、発展途上国への日本の多大な支援を頼りにしている。日本はこの分野で高いレベルの専門技術がある。温室効果ガスの削減プロセスに加え、気候変動の影響を受けている発展途上国が災害を阻止し、既に不可避となっている気候変動の影響から立ち直る環境づくりへの支援も主導してほしい。

 (つづく)