2022年夏、TEAM JAOSが海外オフロードレースに向けて再び始動した。ターゲットは今年11月にメキシコで開催予定の北米大陸最長の〝弾丸〞オフロード・スプリントレース「SCORE World Desert Championship 55th SCORE BAJA1000」だ。
55回目を迎える歴史あるレースだが、BAJA(バハ)1000』と表現した方が伝わるだろう。そう、パリ‐ダカと双璧を成すレジェンドレースのひとつだ。
 参加カテゴリーは市販車無改造『Stock Full Class』で、マシンはLEXUSの最新鋭フラッグシップSUV・LX600(北米仕様)を初投入し、JAOS開発部に籍を置く社員ドライバー・能戸知徳選手が、世界一過酷とも言われる約1000マイルの走破に挑む。マシンは、そのフレームに直接溶接したロールケージでガードを形成し、そこにボディを乗せる構造を採用。無改造クラスとはいえ、高速走行での前転・横転のリスクが高いBAJA1000では、安全を確保するためには必須なのだ。
 マシンの設計開発はJAOSが行ない、製作および競技におけるメンテナンスなどはサポートパートナーの群馬トヨタ(GRガレージ&ネッツトヨタ高崎)、さらにJAOSの開発陣とメカニックが担当する。さらに足元にはトーヨータイヤ、サスペンションはKYBという布陣で、先述したロールケージやシート、灯火類などの様々なパーツを日本メーカーの製品で構成している〝オールジャパン・スタイル〞もTEAM JAOSの特徴だ。

 これまでは東南アジアが舞台のラリーレイド・AXCRを中心に活動してきたが、BAJA1000への参戦については、JAOS代表取締役にしてチームの監督を務める赤星大二郎さんは『新型コロナ感染症で翻弄されるモータースポーツの世界において安定した開催が見込める大会である点』を理由のひとつに挙げた。
これは、2年以上にわたって世界情勢に翻弄され続けたTEAM JAOSのモータースポーツ活動を考えると切実な問題だった。
 一方実はこのBAJA 1000、北海道でオフロードショップを経営する家庭で生まれ育った能戸選手が子供の頃から憧れ続けたレースでもある。また彼がブランドアンバサダーを務めるトーヨータイヤのオフロードタイヤシリーズ「OPEN COUNTRY(オープンカントリー)」がその強さを発揮し、好成績を残してきた舞台でもある。加えてLEXUSのメインマーケットが北米であることを考えると、北米で最大の規模と格式を誇るオフロードレースが挑戦の場として選ばれたのは必然としか言いようがない。

 ちなみにTEAM JAOSはこの取組みを「未来を築くための北米3カ年計画」と位置付けた。
マシン開発を主とした2022年、完走を目指す2023年、そして2024年にはクラス優勝を目指すというプロジェクトなのだ。今回発表されたTEAM JAOSのBAJA1000参戦への経緯は以上の通り。次ページからは、長野県で行なわれたシェイクダウンの模様をお届けしよう。

子供の頃から描いた夢「BAJA1000への出場」についに手が届いた能戸選手。TEAM JAOSの一員としての責任も重くのしかかりながら、本番のコースとの路面の違いを考慮しながらテストを進める。夜間のランプテストなどで見せるコダワリなどは、もう頭の中でメキシコの路面を描いているかのようだ。ダンパーのセッティングなどもう少し時間があれば…と思う部分もあったようだが限られた時間を最大限に生かしたテストに、単なるコンペティターとは違う開発ドライバーらしい姿を見た。
モーターランド野沢は基本フラットダ ートのため、BAJA1000本戦のコースとは異なるものの、LX600のエンジンは3tを超えるマシンもグイグイと加速させる。そのパワフルさは外から見ていても十分感じ取れる。

LEXUS LX600 “OFFROAD”TEAM JAOS 2022 ver.

東京オートサロン2022で『LEXUS LX600″OFFROAD”JAOS ver.』でドレスアップカー部門の優秀賞を受賞したLEXUSとJAOSのコラボを、1本だけの打ち上げ花火で終わらせないとの想いで実現したのが今回のBAJA1000参戦マシン『LEXUS LX600 “OFFROAD” TEAM JAOS 2022 ver.』。過酷なレースに耐える数々の補強と安全性を確保するロールケージや灯火類、安全タンク、足回り、タイヤ&ホイール以外はレギュレーションに則り、ほぼノーマル。参戦クラスがStock Full Classゆえだが、むしろベースとなるLX600のポテンシャルの高さに驚いたと能戸選手は語っていた。
ロールケージはプロフェッショナルのオクヤマ製だが、設計したのはこれまでも海外オフロードレースを戦ってきたジャオスによるもの。ちなみに2シーター化されており、リアスペースには2本のスペアタイヤや大型燃料タンクを装備。ノンストップで走り続けるためにタンク容量は200ℓ。
テストコース上で見る限りジャンプの際、空中でも着地の姿勢も安定して見える。もちろん着地時の衝撃のいなし方も十分だった。高速走行でジャンプが避けられないシーンも多くあるBAJA1000のコースでもサスペンションの性能は有効に働くに違いない。
これまでも文字通り、TEAM JAOSを支えてきた『KYB』。リザーバータンク付きの単筒タイプダンパ ーをフロントに2本、リアに1本の組み合わせで、スペシャルサスペンションを新設計。テスト走行では、 KYBでサスペンション開発を担う田中一弘さんが『BAJA1000』のコースを想定したセッティングの異なるダンパー2セットを用意し、スプリングとの相性を比較して確認。なお、ヒートシンクなど可能な限りの熱対策を行なわれているという。
テスト走行の3日間は毎日快晴が続き、本番を想定した状況の中で1日中、走ってはデータを取り、走ってはセッティング変更・確認の繰り返し。各パーツのテストは、コース走行後にOBDによる車両データの記録、確認を行なっていた。
テスト走行のメカニックは群馬トヨタGR Garage高崎から中島さんと中澤さんの2名、ネッツトヨタ高崎から深澤さんらが対応。サスペンション、ブレーキ、タイヤなどの交換作業やOBDによる車両状態の管理、記録などマシンをコースに送り出す全ての作業を行なった。
TEAM JAOS LX 2022 ver.にはトヨタ紡織製のフルバケットシート MSH−001が装着されている。そこでトヨタ紡織の開発陣によるシート調整が行なわれたが、サポート性や座り心地にとどまらずシートの取付けアングルや視点位置の高さなど多岐にわたる。それらを確認してはパッドの形状や組み合わせを変更していた。
BAJA1000を戦うオープンカントリーの選択肢は2つ。優れたグリップ力で安定感の高い『M/T』と素直で回頭性の良い『R/T』を入れ替えて走行テストが繰り返された。結果、能戸選手が選んだのは後者。どちらもタイヤの構造は同等のタフさを誇り、耐久性には問題なし。高いスピードレンジでのコントロール性を重視するため『R/T』が良いとか。
タイヤの装着サイズは日本未発売の35×12.50R17 LTで、ENKEI製のJAOS TRIBE CROSSの17インチホイールとコンビ。ブレーキキャリパーを変更することで装着可能とした。
キャノンボールレースのBAJA1000は、日没後もそのまま走り続ける。ゆえに照射範囲が広く光量の多いランプはマスト。IPFランプのテストは日没後に静止と走行状態での配光セッティングを重ねた。フロントバンパーとル ーフに取付けられているが、耐衝撃性・耐防塵性を備えたLEDライトバーでもある。
TEAM JAOSの本質はマシン単体やレース活動だけではない。マシン製作や参戦に至るプロセスで多くの国内企業と手を組んで共に目標に向かうスタイルこそが本質なのだ。今回のテスト走行にも各メーカーの担当者が現場を訪れて新しいマシンの様子を確認。コミュニケーションを図っている様子が印象的だった。

TEAM JAOS 2022/チーム概要

●参戦レース:SCORE BAJA1000 2022 ●参戦クラス:Stock Full Class
●参戦車両:LEXUS LX600 “OFFROAD” TEAM JAOS 2022 ver.(ベース車両:LX600 “OFFROAD”)
●監督:赤星 大二郎(株式会社ジャオス 代表取締役)
●ドライバー:能戸 知徳(株式会社ジャオス 開発部)
●コ・ドライバー:TBD
●チーフメカニック:中島 淳一(群馬トヨタ自動車株式会社 GR Garage 高崎IC)
●メカニック:中澤 梓(群馬トヨタ自動車株式会社 GR Garage 高崎IC)
●メカニック:深澤 拓(ネッツトヨタ高崎 サービス技術G)
●車両製作ディレクター:岸 好昭(株式会社ジャオス 設計部 部長)
●サスペンションディレクター:田村 裕一郎(株式会社ジャオス 専務取締役)
●サスペンションエンジニア:田中 一弘(KYB株式会社 AC事業部 サスペンション事業部 技術部)
●広報:内田 悦哉(株式会社ジャオス 企画宣伝部 部長)
●車両製作&メンテナンス:群馬トヨタ自動車株式会社、株式会社RIKISO(https://www.gtoyota.com)
:オクヤマ(http://www.carbing.co.jp)
:ユナイテッドサウンド(http://www.unitedsound.jp/fuse/)

  • JAOS
  • TEAM JAOS特設サイト
  • https://jaos.co.jp/contents/teamjaos/

 

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