本誌でも継続的にその活動を報告してきた『TEAM JAOS』のモータースポーツプロジェクト。2015年に始動し、これまではタイを起点に東南アジア各国を走破するラリーレイド『アジアクロスカントリーラリー』を中心に参戦してきたが、今回TEAM JAOSが新たに挑むBAJA 1000(以下、バハ1000)は、メキシコのバハ・カリフォルニア半島を舞台とし、また参戦マシンには新たにレクサスの最新鋭フラッグシップSUV・LX600を投入するなど、同チームにとって初めて尽くしの挑戦だ。
 レースマシンは8月に完成し、日本国内でテストを重ねてきて、先日アメリカ・ラスベガスで開催されたSEMAショーでお披露目されたばかり。その後北米での最終走行チェックを行ない、バハ1000のスタートの地・メキシコ・エンセナダに向かう。
 ステアリングを握るのは、TEAM JAOSをけん引するジャオスの社員ドライバー・能戸知徳選手。北海道でオフロードショップを経営する父親に連れられ、12歳の時に現地で初めて見たバハ1000への参戦は、憧れ続けていたまさに夢の舞台。そんな能戸選手と、モータースポーツを通じて常にチャレンジングな企業姿勢を表現しているジャオスの想いが、今回ついに1本の線で繋がった!
 バハ1000はオフロードレースに特化したマシンが競う『トロフィートラッククラス』を頂点にクラスが細分化されていて、その幅広さはエントラントにとっても観戦者にとっても大きな魅力だ。

BAJA1000とは!?

メキシコ バハ・カリフォルニア半島で開催される北米大陸最大級の2輪/4輪のオフロードレース「バハ1000」。初開催は1967年で2022年大会で55回目。日程は11月15日〜20日を予定。トロフィートラックと呼ばれるBIGサイズの究極のオフローダーから量産車に近いマシンまで幅広い車種が戦う。約1000マイルを一気に走りきる過酷なキャノンボールレースでありながら、大会の会場は陽気なお祭りムードが漂う一大イベント感もバハ1000の魅力だ。

バハ1000参戦というTEAM JAOSの新たなチャレンジの命運を託されたのが、社員ドライバー・能戸知徳選手。ただハンドルを握るだけでなく、今回の参戦車両:LEXUS LX600 “OFFROAD” TEAM JAOS 2022 ver.の開発にも尽力するなど、チームの大黒柱としての貫禄すら感じられるようになった。
LEXUS LX600″OFFROAD”TEAM JAOS 2022ver.のカラーリングは、これまでのTEAM JAOSのマシンであるハイラックスと同系の青を踏襲したもので、鮮やかなメタリックブルーのフロントからリアに向かいブラックへグラデーションを描く。前後から見る方向でマシンの印象が異なるデザインをラッピングで表現。コクピット同様にノーマル然とした外観で特徴的なのは、前後のチューブバンパー。リアはフレームに取付け、フロントはフレームとともに室内のロールバーから伸びた補強用のパイプと直結。マシン全体の強度にも寄与している。

 今回のバハ1000参戦マシン「LEXUS LX600 “OFFROAD” TEAM JAOS 2022ver.」が挑むのは、「Stock Full Class」という市販車ベースで改造範囲の少ないクラスだ。とはいえ、過酷なバハ1000を走りきるには相応の装備が必要となる。特に補強に関しては、ロールケージはもちろんキャビンから前方にも補強用パイプを追加したり、各パーツの接合部分の板厚を増すなど、丁寧に各部の強度をアップしている。もちろんそれによる重量増は否めないが、これまでは経験しなかったマシンへの強い入力対策に注力した印象がある。
 また高度なプログラムでマシン全体を統合制御する現代的な車両において、コンピューターはノーマルのままで戦うマシンに仕立てることや、200ℓの燃料タンク追加、ブレーキシステムの変更など、そのセッティングには困難が伴った。そう、市販車〝ほぼ〟無改造という縛りの中でのマシン製作の難しさがそこにはある。一方でTEAM JAOSの主要パーツ開発を行なうジャオスと、群馬トヨタグループというディーラーの混成チームゆえの強さが活きるカテゴリーでもある。
 実はこのバハ1000プロジェクトは3年計画となっている。それゆえ1年目の今回はノウハウ蓄積のために長い距離をしっかり走っての完走が絶対目標。1秒のタイムを詰める軽さやパワーよりも、走りきるための強さを重視したマシン開発はそのためのもの。間違いなく、日本のオフロードファン注目の戦いになるはずだ。

TIRE & WHEEL

タイヤは8月に行なわれた入念なテストの結果、M/T(マッドテレーンタイヤ)ではなく、M/TとA/T(オールテレーン)との中間に位置付けられるトーヨータイヤのOPEN COUNTRY R/T(ラギットテレーン)を採用。タイヤサイズは35インチで、ホイールにはJAOS TRIBE CROSS RACING Spec.の17インチをセット。35インチの大径タイヤと純正よりインチダウンした小径ホイールのコンビネーションは、岩へのヒットなど、ホイールのリムへのダメージを最小限に抑えるための選択だ。タイヤハウスはノーマル形状のままだが、車高はボディリフトにより2.2インチリフトアップするとともに、JAOS市販品と同一のカーボンファイバー製のオーバーフェンダーtype-Rを装着してハイト&ワイドを最適化した。

SUSPENSION 

リフトアップコイルに合わせるのが、バハ1000のために新設計されたオリジナルダンパー「KYB BATTLEZ VF-R RACING Spec.」。名前の通り、JAOSとKYBの共同開発モデルで、これまでアジアクロスカントリーラリー(AXCR)で能戸選手のコ・ドライバーとして共に戦ってきたKYBのエンジニア・田中一弘氏が開発を担当。低圧・高圧の縮み側と伸び側の3WAY調整タイプで、ノーマル形状のタイヤハウスやマウントという取付条件に合わせて、リザーバータンク付きの単筒タイプをフロントに2本、リアに1本という仕様だ。バハ1000の路面はギャップが大きく常にフルストロークという状況のため、長時間走行にも耐えるオイル容量、熱対策、ケースの強度が確保されるなど、これまで海外オフロードレースを戦う中で培ったノウハウの集大成と言えるものだ。

COIL-SPRING

装着したリフトアップコイル(1インチアップ)は、チューニングこそ〝専用設計〟だが、JAOSオリジナルコイルスプリングの市販品と同品質&同製法となる。なお、激しいギャップが続くバハ1000の路面に対応させるために、フロントスタビライザーレス仕様としていることも特徴だ。
アーム自体はノーマルのままだが、各パーツの取付け部分は肉厚の板材で補強して強度アップした。さらにアンダーガードでフレームを保護。

COCKPIT&SEAT

レギュレーション上ロールケージは張り巡らされているが、内装はドアの内張からダッシュボードに至るまで、世界屈指のオフロードレースに挑戦するマシンとは思えないほど、いい意味でLEXUS LX600″OFFROAD”のノーマルな印象がある。ただし、シートはトヨタ紡織製の非売品であるフルバケットシートタイプで、路面からの突き上げや振動対策にも対応し、適度なホールド性とクッション性を重視したもの。8月のテスト走行の際、トヨタ紡織のスタッフが現地で能戸選手と念入りに打ち合わせをしながら、クッションの調整も行なわれている。

INTERIOR SPACE

室内はノーマル然とした運転席回りに対し、後方はまさにコンペティションマシンの様相だ。元々後席があった位置には200ℓの追加燃料タンクを設置し、後端にはスペアタイヤやジャッキを格納。あくまで〝市販車ベース〟を掲げるため、レギュレーション上では取り外し可能なバックドアはそのまま使い、LEXUS LX600のフォルムが生かされているのも、バハ1000を走るマシンとしては異色の特徴だ。それゆえ大径化したタイヤの格納はかなり工夫が必要だったとか。

BRAKE

17インチホイールを採用しているため、それに合わせてノーマル比で小径のブレーキローターへフロントのみ換装済みだ。ローターはスリット入りタイプで、ブレーキパッドも交換。これらはすべてプロジェクトミュー製だ。

ASSIST LAPM

トップカテゴリーでも20時間以上、日没後の連続走行が想定されるバハ1000においては灯火類は大切で、街灯などの無い漆黒の闇夜を走るための命綱ともいえる装備。今回のマシンにはIPFのLEDライトバー600シリーズで、霧やダストの中で拡散しにくい特注モデルのイエロータイプを採用している。

■TEAM JAOS 2022/チーム概要

●参戦レース:SCORE World Desert Championship 55th SCORE BAJA1000
●参戦クラス:Stock Full Class
●参戦車両:LEXUS LX600 “OFFROAD” TEAM JAOS 2022 ver.

●監督:赤星 大二郎(株式会社ジャオス 代表取締役)
●ドライバー:能戸 知徳(株式会社ジャオス 開発部)
●コ・ドライバー:TBD
●チーフメカニック:中島 淳一(群馬トヨタ自動車株式会社 GR Garage 高崎IC)
●メカニック:中澤 梓(群馬トヨタ自動車株式会社 GR Garage 高崎IC)
●メカニック:深澤 拓(ネッツトヨタ高崎株式会社 サービス技術G)
●車両製作ディレクター:岸 好昭(株式会社ジャオス 設計部 部長)
●サスペンションディレクター:田村 裕一郎(株式会社ジャオス 専務取締役)
●サスペンションエンジニア:田中 一弘(KYB株式会社 AC事業部 サスペンション事業部 技術部)
●広報:内田 悦哉(株式会社ジャオス 企画宣伝部 部長)
●車両製作&メンテナンス:群馬トヨタ自動車株式会社、株式会社RIKISO(https://www.gtoyota.com)
●車両製作&メンテナンス:オクヤマ(http://www.carbing.co.jp)
●車両製作&メンテナンス:ユナイテッドサウンド(http://www.unitedsound.jp/fuse/)

  • TEAM JAOS特設サイト

  • https://www.jaos.co.jp/teamjaos/

  • Special Thanks:群馬県・浅間高原自動車テストコース(浅間サーキット)

  • PHOTO&TEXT:高橋 学

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